歌謡曲81 年忘れにっぽんの歌2019試聴記

1月4日 土曜日 歌謡曲81

 

おはようございます。

土曜日に「歌謡曲というテーマを書いている自分が新鮮です。

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これはNHK在京民放5局の2019年晦日の主な番組表です(細かい部分は端折っています)。1月2日には、「第70回 NHK紅白歌合戦」(以下「紅白」)と、その裏番組の視聴率が公表されました。

令和初、70回の節目でもあった「紅白」は、第1部が34.7%(関東)、第2部が37.3%(同)となり、過去最低の視聴率となりました。

日本テレビの「ガキの使い!大晦日年越しSP」が民放首位をキープし、テレビ朝日の「ザワつく!大晦日」がその半分程の視聴率獲得で躍進しました。

格闘技系は好き嫌いが割れるのか、TBS、フジテレビともに高くは無いですね。

同じ歌番組で「紅白」と直接対決となるのが、16時から6時間というテレビ東京の特大番組年忘れにっぽんの歌(以下「年忘れ」)です。コチラは一桁の視聴率ですが、民放で見れば第3位、日本テレビの半分ほどの視聴率です。

コレを高いと見るか、低いと見るかは受け取り方次第ですが、わたしは高いと思います。「紅白」の視聴者を食っているのは、「年忘れ」だと思うのです。

 

1 「年忘れ」の出場者  

「紅白」は、最年少のFoorinから俳優の菅田将暉さん、特別枠の竹内まりやさんや松任谷由実さん、海外からKISSに至るまで、実に幅広く出場します。

全世代に見て欲しいという想いかもしれませんが、裏を返せば、自分の関心の無い歌手が多数出場するわけで、全般的な関心が薄れます。

これに対し「年忘れ」は、ターゲットとする視聴者層を高く設定しており、若い世代を狙っていません。2019年の最年少は、おそらく純烈のメンバーかと思いますが(正確には調べていません)、基本的には40代以上の歌手です。

高齢者が見ても、”そう言えば うちの子が子どもの頃に流行ってたのを聴いたことがある”くらいの層までしか出演しておらず、基本は高齢者が時代を共にした歌手が選出されているのです。番組の狙いが明確で良いです。

 

2 「年忘れ」の番組構成  

本当にシンプルです。司会進行は、徳光和夫さん、竹下景子さん、中山秀征さんが務め、ゲストは北島三郎さんとIKKOさんのみです。北島三郎さんは、たまに振られる程度の中、何度か登場するIKKOさんが大活躍します。昔、その歌手のヘアメイクを担当した話や、自分が憧れていた話、お決まりの「どんだけ~」など、何パターンかを繰り返して、番組の最後まで押し通すのです。

歌手の方に話を訊くのはごく僅かで、基本的には司会のナレーションで始まり、歌手は歌っては帰るだけです。中には、ナレーションさえ無い、VTR出演の歌手もおり、”本当に今年収録したのだろうか”と疑問に思ったり、既に他界された歌手もVTR出演するため、最近見なくなった歌手を中心に、”この人はもう亡くなったのか”と自分の記憶力に不安を覚えたりと、大晦日まで脳がフル回転しました。

「紅白」のように、数のゴリ押しも無ければ、ギネス挑戦イリュージョンニコンスポーツ推しも無く、落ち着いた歌番組だと言えます。

 

3 「歌」を聴かせる番組  

1月2日に、コラムニストの堀井憲一郎さんが、紅白出場歌手の歌唱時間比較を記事にされていたのを読みましたが、3分に満たない歌唱時間の歌手が結構いることに驚きました。たしかに2部制になる前の「紅白」は、21時からの限られた時間の生放送だったので、前半に登場する歌手の曲が短かったり、演奏が異様に早いなどありましたが、今は5時間近い枠を持て余す様相ですから、歌唱に割く時間は十分です。

これに対し、「年忘れ」は最低でも2番まで歌唱、テンポの速い曲なら3番まで歌っていますから、きちんと歌を聴くことができます。

これが歌番組の王道だと言わんばかりに、歌以外は極力排しています。

「大晦日に本当に聞きたい『日本の名曲』」と銘打つあたりも、不明瞭な選考・選曲の「紅白」をチクリとやっている気がします。

 

4 残念だったこと  

こうして、AIを駆使して新曲も歌わさず、テレビ出演をしない大物も口説かず、中継もせず、大勢でガチャガチャ騒ぐこともせず、ゲストも最少人数で引っ張るなど、淡々と歌を聴かせる姿勢を明確にするテレビ東京の方針が好きです。

公共料金を集めて歌を聴かせない「紅白」の1/5以上の視聴率を、これだけシンプルな「年忘れ」が叩き出すことは、わたしは凄いと思うのです。

「紅白」で菅田将暉さんが「まちがいさがし」を歌うならば、「年忘れ」では俳優の大先輩である寺尾聰さんがVTRでルビーの指環を歌って対抗心を示します。なにせ「ルビーの指環」は160万枚以上売り上げ、「ザ・ベストテン」では12週連続第1位という大記録を樹立しました。他にも大先輩俳優の黒沢年雄さんが「時には娼婦のように」(それにしても凄い歌詞です)、中条きよしさんが「うそ」をVTRで披露するなど、俳優の歌手生活を彩った名曲揃いでした。

但し、2019年に関して残念なことを言えば、ムード歌謡のコーナーが無かったことです。ムード歌謡好きなわたしとしては、たとえが抜かれたような目でコーラスしていても、バックミュージックに合わないボーカルでも、「今日はカツラがズレているような気がする」「入れ歯が外れそうで気になって仕方ない」と思いながら見るムード歌謡が出場しなかったのは、年末の楽しみが一つ減りました。

他にも、「整形しつづけたらどうなるのか」を身をもって見せてくれる歌手の方が出場しなかったり、残念なことはいくつかあるんです。

しかし、総じていえることは、歌手の皆さんが原曲に忠実に、結果的にいつもより上手に歌っていた印象を受けました。

 

「紅白」も竹内まりやさんの生歌唱は素晴らしかったですし、石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」の生演奏のイントロでは一面の銀世界が浮かんで惹き付けられましたが、比較にならない低予算で仕上げたと思しき「年忘れ」の方が、わたしにとっては楽しい歌番組でした。ダラダラ長く書いて申し訳ありません。