乗り物144 クルマのはなしvol24~3車種への惜別の念~

12月30日 月曜日 乗り物144

 

おはようございます。

 

昨年中盤から、歴史あるいくつもの車種消滅するという話が、雑誌やネットで取り上げられており、このブログでも何度か情報として触れたと思います。

この話がいよいよ現実味を帯びた今、その対象車種のうち、わたし(我が家)が実際に所有した3車種について、今回は惜別の気持ちを書き留めておこうと思っています。

なお、わたしは車種の消滅に対して、反対の気持ちを持っています。いわゆる”新車効果”が無くなった現代、ユーザーの目先を少しでも変えたいメーカーの意図かもしれませんが、紡ぎ上げてきた歴史の糸を簡単に捨て去って良いのか甚だ疑問です。日産が、セドリック/グロリアをフーガに、マツダがカペラをクロノスにしたとき、得たものよりも失ったものの方が大きかったことを忘れたのでしょうか。

そもそも新車情報の出し方から、発売後の手直しに至るまで、メーカーの努力が足りないとわたしは思っています。今回取り上げる3車種も、とても良くできたクルマだけに、余計に惜しいと感じるのです。

 

マークX

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バブル絶頂の1988年~1992年に販売された6代目マークⅡ。1990(平成2)年には約23万台販売された。

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幕引き役となった2代目マークX。2018(平成30)年の年間販売台数は約4千台と低迷した。

12月23日、最後の「マークX」がラインオフし、ついに51年という半世紀以上の歴史が幕を閉じました。「マークX」という名に覚えが無くても、30代以上の方なら「マークⅡ」と聞けば分かるかもしれません。白の5代目「マークⅡ」が盛り上がりを見せ始めた1986(昭和61)年、我が家に納車されたのは型落ちとなった4代目「マークⅡ」の中古車でした。父親が工場長に昇格したお祝いで買ったのでした。

フェンダーミラーが古さを感じさせましたが、それまでがスプリンターだったので、随分と立派で落ち着いたクルマに思えました。車内は広く、後部座席の座り心地も上々、なんだか自分まで出世したようで、子どもながらに嬉しかったのを覚えています。

やがて「マークⅡ」は5代目、6代目と人気が爆発、若者にまで支持が拡大し、「マークⅡ」3兄弟(「チェイサー」「クレスタ」)は時代の寵児となったのでした。

一方の「マークX」は、名前を変えて初代が登場したのが2004(平成16)年ですから、「マークX」としては15年間販売されたことになります。しかし、再び脚光を浴びる存在とはならず、今回の生産終了に至るのでした。

時代が変わった、それは事実です。しかし、「セダンは売れない」という評価は「だから生産しない」という言い訳にしか聞こえません。現在でも、欧州製セダン国内でも堅調に売れています。縮小しながらも、マーケットは現存しているのです。

わたしの感想としては、若者のクルマ離れを食い止めようと、無理に若作りしたデザインにしたことが最大の失敗だと思います。若い世代へのウケを狙ってスベるオヤジみたいなもので、見ていて痛々しささえあります。せっかく積み重ねた経歴の重みを自ら捨てて、軽いノリをアピールする感じは、残念としか言いようがありません。

マークX」にはFRという稀有になったレイアウトが採用され、FR=走るクルマという古い頭が切り替わらなかったため、無理な若作りにブレたのだと思います。

「マークⅡ」の母体である「コロナ」が中堅平社員を狙うなら、格上の「クラウン」は部長以上を狙います。「マークⅡ」は、「コロナ」以上「クラウン」未満という、絶妙ポジションを、まるで会社の出世街道に合わせるかのように体現しました。この層は「マークX」のようなクルマを見ても、”コレじゃない”と思うことでしょう。

生産を終了することは実に容易いことですが、歴史を刻み続けることは難しいですね。

 

エスティマ

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「天才タマゴ」のキャッチフレーズで登場した初代は、画期的なミニバンとして注目された。

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3代目エスティマは、2018年にも改良を受けていたが、2019年10月に生産終了となった。

このブログでも、エスティマを買取専門業者に売却した話を記しました。

エスティマを購入したのは、わたしが社会人になって4年目のことで、年末のこの時期に納車されたので、初乗りが初詣だったのを覚えています。

上級に位置するミニバンだけあり、足回りがやや硬めながら、全般的には上質な乗り心地でした。一方で、ミニバンとしては背が低く、FFというレイアウトも良い方に作用し、意外と走りもキビキビとしたものでした。

難点を挙げるならば、床下収納型のため、3列目シートが薄くて座り心地が硬いことと、パネル全般にプラスチック感が強く、車格相応の重厚感が無いことでしょうか。

それでも、「ハイエース」のようなキャブオーバー型でも無く、「アルファード」シリーズほどの風格も備えない、オシャレなミニバンとしての地位は貴重でした。

それを築いたのは初代で、その登場が1990(平成2)年のこと。まだセダンやスポーツカー全盛時代に、低重心でスタイリッシュなミニバンを提案すべく、エンジンを75度寝かせて平床化し、ミッドシップレイアウトとする凝り具合が注目されました。

しかし、海外併売モデルであったため、国内ではサイズが大き過ぎたことがアダとなり、その注目度のわりに販売台数が伸び悩んだのでした。そこでトヨタは、いわゆる「子エスティマの愛称で呼ばれた「エスティマエミーナ/エスティマシーダ」の2つの5ナンバーサイズを投入し、これが結果的にエスティマブランドを継続させる大きな要因となったと思います。10年という異例の長さで2代目にバトンを渡すと、2代目はヒット車となり、6年間のモデルライフで最終型となった3代目に突入したのでした。

 

 

■ キューブ

 

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我が家に「キューブ」が納車されたのは2009(平成17)年でした。

当時「車齢 13年以上経過した車を廃車にし、2010年度燃費基準を達成した新車に買い替えた場合に、登録車は 25 万円、軽自動車は 12.5 万円の補助を行う」という「新車買い替え補助制度」が展開されており、たしか、2年以上の所有という縛りがあったと記憶していますが(定かではありません)、我が家には、リタイアした父の家庭菜園往復用として中古で購入した軽自動車があり、その条件を満たしていたため、制度を利用して「キューブ」の新車に買い替えたのでした。

エスティマ」と軽自動車に続くサードカーとして選んだ決め手は、そのふざけたデザインでした。3代目のデザインが、「サングラスをかけたブルドック」と言いますから、そのユルさが良かったのです。ちなみに「キューブ」というクルマは、日本経済が沈んでいた1998(平成10)年に初代が登場、「アソブ、ハコブ、キューブ。つまり、コンパクトでハイトなワゴン。」というキャッチコピーで、日産が遊び心を持って提案したもので、そのコンセプト一貫して受け継がれてきました。

2代目以降で、一目見て「キューブ」と分かる唯一無二の存在としてデザインを確立すると、3代目もコレを継続しました。

このふざけた感覚に惹かれて購入した「キューブ」は、意外にも上出来なクルマでした。先程、エスティマの内装がややチープに思えたと書きましたが、それは「キューブ」の内装が車格以上の設えだったからかもしれません。

リビングのソファを彷彿とさせるというシートは重厚で、クッション性ホールド感を見事に両立させていましたし、防音もよくできていました。デザインを見れば分かるとおり、室内は十分に広く、横からの圧迫感も一切ありません。それでいて、走れば60km/hまで軽く加速する扱いやすいエンジンは、街乗りでも16km/ℓ程度をコンスタントに叩き出す燃費の良さも備えていて、正直、ほぼ不満はありませんでした。

強いて言えば、2代目以降続くリアハッチの形状でしょうか。左からの横開きのため、右利きのわたしはあまり気になりませんが、左利きの方には使い勝手が悪いことでしょう。加えて、上に開かないため、の日はハッチが雨避けにならない弱点もあります。

それでも十分に気に入って6年間所有したのでした。

 

 

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こうして、わたし(我が家)が所有し、歴史に幕を下ろす3車種をご紹介しましたが、いずれにも通じる共通点があります。メーカーが放置したことです。

最終型マークX=10年、最終型エスティマ=13年、最終型キューブ=11年

かつて4年でフルモデルチェンジした頃と時代は変わりました。今では6~7年というのが平均的なモデルスパンだと思いますが、10年以上はさすがに長いです。

「10年ひと昔」と言われるように、基本性能も安全性能も刷新しなければ、古くなるのは当然です。「キューブ」には、商用車でもつく自動ブレーキさえ備わりませんでした。つまり、「売れない」と見切ったメーカーの放置=怠慢が、せっかくのクルマの魅力を削いでしまったことは事実でしょう。実際、いずれの車種にも一定のニーズがありますし、「自動ブレーキがあるならキューブが欲しい」という声が多かったという販売員の声も聞きました(結局、安全性能が足りないため「ノート」を勧めたそうです)

 

終わらせるには惜しい3車種だと思うのですが、合理性で車種整理ばかりに走るメーカーの姿勢が続く以上、今後もこうしたクルマが出てくることでしょう。

残念ですが、年の終わりですので、3車種への惜別の想いを込めて「ありがとう」の気持ちで書いてみました。