時事の戯言61 スポーツに想う

10月28日 月曜日 時事の戯言61

 

こんばんは。

 

ラグビーワールドカップでは、日本代表が(失礼ながら)想像以上の好成績を残し、にわかファンが増えました。にわかファンと言えば否定的な印象で恐縮ですが、そうではなく、熱狂的なファンも、かつてはにわかファンから始まったわけで、無関心だった多くの人を振り向かせるほどラガーマンたちが躍動したことの証左だと喜ぶべきです。

 

こうして、競争で勝ち進んだトップアスリートたちが、その一瞬にすべてを出し切り、頂点を目指して全力を出し切る、その全身全霊を賭けた筋書きの無いドラマは、多くの人を感動させる、そして戦いが終われば結果を受け入れ、あとはお互いを讃え合う、これがスポーツの美しさであり、潔さであり、観戦する楽しさでもあるのでしょう。

 

しかし、今、わたしが見ているスポーツのニュースでは、見たくないドラマや、聞きたくない恨み節が漏れ伝わってきています。それは、晴れ渡る秋の空を覆う灰色の雲のように、陰鬱な気分にさえなる、あるニュースです。

 

ほぼ完全に気候が変わってしまった日本で、「屋外での活動は危険」と呼び掛ける時期に、炎天下で42.195kmを走ることが無謀なことは分かります。下手すれば、アスリートの生命危険に晒す可能性すらあるとも思います。そんなことが起こることは、誰一人として望んでいないことでしょう。わたしも、適した環境で行うべきと思います。

しかし、そんなことは開催地決定の時点で分かり切っていたことで、”何を今さら”というのが正直な感想です。ここまで着実に準備を重ね、その前提で、運営も競技者自身も、ボランティアも警察も観客も、すべてが動いてきました。それを「(開催地変更は)意思決定されている」(調整委員長)、「われわれが駄目だと言えるのか」組織委員会会長)と、開催地の首長頭越しに決めたことには違和感を禁じ得ません。

どこが招致に立候補し、どこが資金を出し、どこが準備を進めてきたのかを考えれば、その理不尽さたるや、首長はもっと激怒しても良いとわたしは思います。

加えて腹立たしいのは、開催地変更は開催地の意思抜きで決定されながら、移転に伴う費用などについては「予定しない状況に備えた偶発(事態)の資金がかなりあるはずだ」(調整委員長)と、予備費を充填すべきと言っています。この予備費は、開催地と組織委員会共同出資しているものですが、組織委員会は「ギリギリ」だと述べており、実質的には開催地の資金を充填するという話でしょう。勝手に変更しておきながら、金はそっちで出せなど、これほどに理不尽なことを許して良いはずもないでしょう。わたしは開催地の住民では無いので、わたしの税金が使われることは無いですが、聞くだけでも腹立たしい限りです。しかも、当の首長が知らされていなかった状況下、ニュースが流れると、移転先とされる地方では「驚きと同時に光栄」(市長)、「開催が決まれば(中略)チャンスであり大変喜ばしい」陸上競技協会会長)と、戸惑いもあまり見られずに喜びを口にすることにも違和感を感じます(わたし個人は、移転先の地域が大好きで、だからこそ、本来の開催地にもっと配慮した発言があって欲しいとも思うのです)。ここに、「相当な危機感を持って決断している」と移転に理解を示したとも受け止められる五輪相が、移転先のご出身とくれば、本来の開催地の首長と犬猿の仲と言われる組織委員会会長を軸に、筋書きが出来上がり、開催地以外との根回しを済ませて唐突に発表し、完全に外堀を埋めたと邪推されても仕方ないでしょう。

仮にこの邪推が正しいのだとすれば、わたしがスポーツに求める清々しさなど無く、むしろ大人の権力利権にまみれた汚いドラマを見せられていると感じます。これが勧善懲悪モノのドラマならば、最後に闇が暴かれてスッキリするのですが、現実世界ではそうも簡単には行かないでしょうから、モヤモヤ感ばかり残りそうで嫌です。

 

話は変わり、ついでにプロ野球日本シリーズの話も少しだけ書きます。

パ・リーグ2位から勝ち上がったソフトバンクホークス圧勝で幕を閉じましたが、敗戦の将となった巨人・原監督が、「DH制というのが相当、差をつけられている感じがある」と述べました。本当にDH制が実力差に直結するかの真偽はともかくとして、わたしはこの弁に残念な気持ちで一杯です。セ・リーグを勝ち抜き、その代表として臨んだ試合で、選手も監督も最善を尽くしたはずですから、まずは率直に敗戦を認め、相手を讃え、選手を労うことが必要でしょう(もちろん、原監督もそう述べたかもしれませんが)。相手リーグの制度が違うから差がついて負けたなど、リーグ代表の監督の口から聞きたくない言葉だとわたしは思いました。予告先発もせず、セ・リーグ球場ではセ・リーグルールにすれば、むしろセ・リーグに有利に働くとさえ考えられます。

もっと根本的なところで、お金をかけて、峠を下りかけた選手ばかり集めるのではなく、ドラフトから育成まで、しっかり筋道を決めて強化を図っているところがパ・リーグの強さの要因だとわたしは思うのですが。

 

とまぁ、スポーツを見て、戯言を並べたい気分になっている今日この頃、早く澄んだ秋の空を見たいと願うばかりなのでした。