温故知新28 栄枯盛衰

10月14日 月曜日 温故知新28

 

おはようございます。

台風一過といえば清々しい空ばかり思い浮かびますが、現実は台風の爪痕の厳しさから目を背けることはできません。わたしの住む市の一部や、買い物に行く隣接する市の川沿いは、軒並み浸水被害を受けており、改めて被害の大きさを認識しました。

被災された皆様には、心からお見舞い申し上げます。

 

さて、この10月11日に、流通業界に大きなニュースが流れました。セブン&アイ・ホールディングスは、西武(大津、岡崎)およびそごう(徳島、川口、西神)の計5店舗の閉鎖と、西武(秋田、福井)の売り場面積縮小、イトーヨーカ堂33店舗のグループ内外企業との連携や閉鎖を検討、セブンイレブン約1,000店舗の閉鎖や立地移転という、大規模な事業改革を発表しました。いずれも馴染みある名前だけに、その発表は少なからず衝撃を持って受け止められたようです。

人手不足人件費高騰などが理由に挙げられていますが、端的に言えば、不採算店の整理を粛々と進めるということなのでしょう。

 

何度も書いていますが、わたしの生まれは、今回そごうが閉鎖対象となる徳島県です。徳島そごうは1983(昭和58)年10月1日に開店し、以来37年近く、駅前のとして営業を続けてきました。売上ピークは1993(平成5)年2月期の444億円で、最近ではピーク時の28%ほどまでに売上を落としていたのでした。

徳島駅前といえばバスロータリーワシントンヤシ、そしてそごう(実際には徳島駅前再開発ビル、通称アミコビルの主要テナントとして、そごう徳島店があります)というほど、嫌でも目に入る位置にあります。それ以前は、内町小学校があったようですが、わたしが物心ついた頃には取り壊されていたはずで、再開発の最中でしたから、わたしの記憶の中では、あの位置にはそごうしか残っていないのです。

 

しかし、年に数回、徳島を訪れて分かることは、市の中心部空洞化が激しいことです。やや郊外に、フジグランイオン、そしてつい最近はドン・キホーテなどが上陸し、人の流れと地元の話題はそちらに奪われるのか、そごうを訪れても閑散としていたので、わたしは今回の報に触れても、「やはり」という気持ちと、「よくここまで持ったな」という感想しかありませんでした。

徳島県は、紛れもなく自動車文化です。鉄道やバスは不便で、一家に1台どころか、1人1台クルマが無いと不便なほどなので、主要道路沿いにある郊外型の有名店舗と、駅前で駐車場代も掛かる百貨店では、集客に差が出るのは自明でしょう。

それでも、そごうができたときは、新しさと高級感という意味で、ワクワクしました。というのも、それ以前の百貨店といえば、地元の丸新しか無かったので、そごうという全国展開するお店がやってくるのは、田舎にとっては目新しく、子ども心に誇らしささえ感じていました。その丸新は、そごうに客を奪われるカタチとなり、1995(平成7)年に閉店し、61年続いた営業を終えました。その推移を見てきた身としては、かつて丸新閉店の流れを作ったそごうが、今度は大きな流れに呑まれて閉店するという、時の移り変わりを感じずにはいられないのです。

 

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ちなみに、そごうに客を奪われた丸新とともにかつて栄えていた東新町商店街は、いまやこのような状況になっており(撮影は2017年10月)、まさに栄枯盛衰の現実を見たという気がしました。しかし、衰退した後は、再び生まれ変わるのも世の常です。

東新町商店街を歩けば、地元をPRする店舗や、アニメを使った(よく分からない)店舗、若者にスペースを貸し出す店舗など、かつてとは異なるカタチで、存続を図っているようでした。それを考えると、たしかに駅前の顔であり、全国展開するそごうというブランドを失うことは痛手ですが、アミコビル自体も40年近い年数を経過しており、そごうの後を埋めるだけのテナントは現れないでしょう。

個人的には、今後の駅前が再び集客できるためにはどう変化していくのかに関心があります。

高速バス乗り場も整備され、ダイワロイネットホテルができるなど、駅前バスロータリーから駅東側はカタチになりました。

反対に、そごう含むアミコビルや、その北側にある通称ポッポ街がある駅西側、まだ昭和の名残があるため、このあたりを大規模に集約して開発するのでしょうか。人口のパイが決まっている中で、それをしても集客にはならないというのがわたしの感想ですが。

 

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ただ、そごうから客足が遠のき、ロッテリアなどが他に移転した後のアミコビルでも、いつ見ても行列が絶えないのが、大判焼で人気のあたりやさんです。創業65年ほどですから、わたしの親の代から続く老舗の大判焼屋です。

1個70円(消費増税で現在の価格は不明ですが、わたしが訪れた直近の価格)は激安で、種類もあんこのみ。飲食スペースも無く、大判焼を焼き続ける機械と、レジ、所狭しと積み上げられた簡易包装ののみというシンプルさで、レジに行けば「〇個」「はい、〇円です」というだけのシンプルな会話です。

大判焼、しかもあんこだけで、65年続く人気店という商売は凄いなと思いますが、探せば地元にはこうしたお店が他にもあるはずです。

 

かつてそごうに追われるように衰退した丸新、東新町商店街の様子を参考に、そごうの跡をどうするのか、考えて欲しいと思います。

 

そごうが閉じれば、徳島県は全国で唯一、百貨店が無い県になります。唯一、電車が走っていない県ということも踏まえ、「全国で唯一〇〇が無い県」記録を増やせば良いと思うのですが、地元の方に怒られてしまいそうですね。でも、金太郎飴的な月並みな街づくりより、地方の特色を活かした街の方が、そこに行かなければ得られないものもあって楽しいと、わたしは思うのです。

 

以上、今週の「温故知新」でした。