温故知新26 オトナの事情

9月16日 月曜日 温故知新26

 

おはようございます。

敬老の日」の朝を迎えました。なんだか心穏やかな朝ですが、今日の「温故知新」はそんな気分に乗って、かなりユルめの内容でお届けします。

 

コナミデジタルエンタテインメントは、桃太郎電鉄(以下「桃鉄」)の新シリーズ桃太郎電鉄 昭和、平成、令和も定番!」2020年に発売すると発表しました。

これには、さくまあきら氏監督による新作を心待ちにしていたファンは歓喜の声を上げ、わたしも桃鉄のためなら、任天堂Switchを購入しようかと思ったほどでした。

しかし、その後にこうしたファンを戸惑わせる発表がなされました。

それは、キャラクターデザインをイラストレーター・竹浪秀行氏、楽曲一部を音楽クリエイター・ヒャダイン氏がそれぞれ担うこととなり、一部が公開されたからです。

 

「定番!」と銘打つほど広く浸透している桃鉄ですから、わたしも含めて30年近いファンの中では、それこそ定番のキャラクターが出来上がっているわけです。しかし、今回公開されたキャラクターは、かなり現代風のカワイイ系キャラに変更されており、ネット上では「コレジャナイ」「誰だお前」「貧乏神ひでぇ」といった否定的な意見が多数寄せられることになったのです。

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コナミさんの公式ページから拝借しましたが、わたしもたしかに「コレジャナイ」と思います。実際のところは、前作となる「桃太郎電鉄2017 たちあがれ日本」でも徐々にキャラクター変更は進んでいたのですが、このゲームの肝である桃太郎貧乏神については過去を踏襲していただけに、今回のキャラクター変更は衝撃でした。

わたしが今もたまに遊ぶ「桃太郎電鉄16 北海道大移動の巻!」パッケージ裏は

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こんな感じです。オレンジで囲んだのが桃太郎、黄緑で囲んだのが貧乏神ですが、個人的には貧乏神の変化が特にショックです。腰布1枚で「〇〇なのねん」と言いながらまとわりつく、鬱陶しいながらも憎めないキャラがほのぼの感を醸し出していましたが、新作の貧乏神は、むしろちょっとセレブな印象さえ持ちます。それが着衣からくるものなのか、大人びた顔になったからなのかは分かりませんが。

いずれにせよ「コレジャナイ」のです。

 

なぜ30年近く続く定番で、大切なキャラクターを変えなければいけないのか。それは、オトナの事情が背景にあるようです。

もともと、1988(昭和63)年にハドソンから第1作目が発売されて以降、人気シリーズとして定着し、特に冬を中心に新作が投入されていきました。

しかし、2012年にハドソンがコナミ吸収された頃から雲行きが怪しくなります。

監督を務めるさくまあきら氏がコナミに井村という男がいるかぎり、桃鉄、桃伝はつくらないよ。」とツイートしたことで、何かしらの確執が生じたと推測されました。さらに2015年、コナミから何の連絡もない。こんな調子でずっとほったらかされた。ここに桃太郎電鉄は、正式に終了します。すべてコナミの石川が握り潰しました。」とまでツイートしたため、続編を待ち望んでいたファンは大きな悲しみを抱きました。

というのも、新作がある程度出来上がっていた中で、東北地方が壊滅的な被害を受ける東日本大震災が発生したことが発売の足かせ桃鉄のゲーム内では、アトランダムに、台風や地震といった自然災害イベントが発生し、各地域に被害が出ます)になっていたため、その落ち着きを待って新作が発売されるのを期待していたからです。

 

こうして、永遠に桃鉄の新作は出ないと落ち込んでいた最中での「たちあがれ日本」に続く「昭和、平成、令和も定番!」は、ファンにとって喜びなのです。

しかしキャラクターデザインが変わってしまいました。このことについて、副監督を務める柳田氏は「ここから先10年20年」を見据えた上での判断だとしながらも、「正直なところ、土居さんのキャラクターが競合他社の顔になってしまったので使えないし、お互いに気まずい」とその背景を漏らす場面もありました。

「土居さん」とは、桃鉄のデザインを長く担ってきた土居孝幸氏です。2018年にバンダイナムコから発売された、桃鉄に似た「ビリオンロード」というゲームでデザインを担当しました。このゲームはさくまあきら氏には知らされずに発売となっており、さくまあきら氏が桃鉄作らない宣言をした後に、当事者間で何かの隔たりがあったと推測されます。桃鉄のキャラデザインは、土居氏が権利を持っているため、新作ではそのキャラクターを使うことができなかったというのが実態なのでしょう。

 

こうしたオトナの事情は分かります。いっそこの際、現代風にアレンジした新キャラクターで、未来の桃鉄に向けて慣れて欲しいというメッセージも理解します。

しかし一方で、子どもの頃から慣れ親しんだはずの「定番!」の桃鉄が、作り手たちの様々な事情によって崩されてしまうことは、個人的には悲しみを覚えます。

昔から、オトナの事情とは体の良い文句ですが、新作が、新たに始める人も、これまで遊び続けた人も、心底楽しめるほのぼのボードゲーム桃鉄」の精神を大切にした作品であって欲しいと願うばかりです。