乗り物118 クルマのはなしvol9 プリウスは危険?

6月18日 火曜日 乗り物118

 

こんばんは。

 

今夜の「乗り物」は、暴走事故で多く登場する、トヨタ・プリウスの話題です。

 

2019年6月13日に開催された、トヨタ自動車株主総会において、株主から「高齢者が運転する車が暴走し、事故を起こした車として、『プリウス』が頻繁に登場する」との質問が出されました。2019年6月4日に福岡市で発生した逆走事故では、実際にはエスティマトヨタ自動車)が事故車であったにも関わらず、映像に映し出された被害車両のプリウスを見た一部の間では、”またプリウスが事故を起こした”というデマまで拡散されたほど、プリウスは事故が多いという感覚を持っている方が多いのも事実でしょう。

 

その株主からの質問に対するトヨタ自動車の回答の要点は、以下のとおりでした。

・ご心配をお掛けして申し訳ない

・安心・安全について厳しい基準で評価されている

プリウスは、年配の方を中心に、多くのお客様にご愛顧いただいている

・暴走事故防止に貢献すべく、後付けの踏み間違い加速抑制装置の車種拡大を図る

 

つまりは、販売台数が多いから、割合として事故場面に登場する頻度も上がるのであって、クルマとしては安心・安全なモノを提供しているので問題無い、という理解です。

たしかに、1997年に量産車初のハイブリッド車として登場した初代こそ、販売台数はパッとしませんでしたが、2代目以降はトヨタ屋台骨に成長し、エコ意識の高まりとともにその存在感を増しましたから、トヨタ自動車の説明も一理あると思います。

 

但し、それでもプリウス怖い、危険と感じる点も、個人的にはあります。

1つ目は、加速が良すぎる点です。プリウスを使用したタクシーに乗車した際、走り出すと、あっという間に60km/hあたりまで加速しました。コンフォートなどではどんなに踏み込んでも、あの加速は得られません。やはりモーターで立ち上げるプリウスには敵わないのです。事実、トヨタ自動車はハイブリッドシステムを、エコに振る車種とスポーツに振る車種に発展させようとしたこともあり、スポーツカーの能力を秘めたシステムを、プリウス搭載しているわけです。

2つ目は、歩行者として見たとき、ほぼ無音で近づく点での怖さです。ガソリンやディーゼルならば、暴走すればエンジンの回転数も上がっており、で気付きます。しかし、無音で近づくプリウスの場合、実際に起こる惨事の悲鳴などで気付くのでしょうが、歩行者の側も、逃げる判断がワンテンポ遅れる可能性があると思います。

3つ目は、ドライバーとして見たとき、加速の良さによる過信をしているクルマが多いと感じます。たとえばわたしが所有する軽自動車の加速なら、”このタイミングでは曲がらない”とか”ここで合流すれば本線の流れを乱す”というタイミングに、多くのプリウスは平気で入り込むのを見ます。プリウスというクルマなら大丈夫”という過信を抱かせる加速の良さゆえに、ドライバー本人には安心感、周囲から見れば強引さ誘発している気がするのです。

もちろん、最終的にはドライバー個人の判断にすべてがあるので、まともに走行しているプリウスが多いことは、言うまでもありません。

ただ、それでも「プリウス=危険」というイメージを多く持たれていることについて、わたしなりの考えでは、上記3つの要素があると思います。

 

しかし、上記3つのうち最初の2点は、ハイブリッド車全般に通じる話で、プリウスに限った話ではありません。アクアやSAIなど、ハイブリッド専用車も同様です。

アクアについては、やや強引な運転も見掛けますが、SAIは個人的に危険を感じません。それは、トヨタ自動車の説明どおり、販売台数に比例することも事実だと思います。加えて、購入層も大きく影響していると思います。

プリウスは、自身の安全やステータスも維持しながら、取り回しの良さと室内の広さも備えている点で、多くの高齢者にとってバランスの良い車種なのだろうと思います。

事実、トヨタ自動車も「年配の方を中心に」支持されていると言っています。

 

そうだとすれば、「年配の方」が多く求めるプリウスが、社会の凶器と化さないよう対処するのがクルマ会社の責任だと思うのです。あれだけの加速、そこからくるドライバーの過信、そして無音。加えて、コンパクトなシフトレバーはゲージ式では無く、シフトの入れ間違いも発生しやすい構造です。

売れているから割合的に多く見えます、と他人事で済ませるのではなく、高齢者が多く求めると認識するならば、それ相応の対策をクルマに施すべきではないかと思います。

いくら「対策を講じます」と言われても、高馬力で加速の良いクルマをアピールしている現在のトヨタ自動車の方向性を見ていると、プリウスについてもその延長線にあるように思えてしまい、判断力の衰えた高齢者が安心して乗れるクルマとは思えません。

 

もっとも、最終的には、免許返納も含めてドライバーの自覚技量の問題ですが、併せて、罪なき多くの犠牲者がこれ以上生まれないよう、自動車会社も対処して欲しいです。