温故知新13 野球

5月13日 月曜日 温故知新13

 

こんばんは。

 

このところ、わたしが応援する中日ドラゴンズは、春先の好調さがを潜めていました。その試合をライブ動画で見ながら、感じたことがあるのです。

たとえば同点で迎えた表の攻撃、無死一塁、次の打者には送りバントのサインが出ました。これで一死二塁。続く選手の単打で、一死一・三塁の好機を迎えました。表の攻撃ですから、まずは一点を勝ち越すことが大切です。

その場面で、ある選手が代打で登場しました。役割は一点を勝ち越す打撃です。しかし彼は、一発を狙ったか、あるいは長打一掃でも狙ったかのような強振で追い込まれ、あろうことか、相手バッテリーの狙い通りに引っ張り、セカンドゴロ併殺で好機を潰したのでした。このときふと、過去に聞いた話を思い出したのです。

 

中日では選手、そして名監督として活躍した落合博満さんが、現役時代の練習で、ひたすら勢いの無いゴロを三遊間に転がしていたそうです。調子が悪いのかと尋ねた首脳陣に対し、落合さんは、一死の場面で一点を取るため、取りづらい場所に、(併殺を避けるために)勢いを殺したゴロを打つ練習をしていたそうです。

自分は一塁でアウトになっても、チームは一点を勝ち越すことができる。そうした場面を頭の中に描き、シミュレーションをして練習しているのだ、と。

史上唯一の三冠王三回を獲得し、節目の安打をすべて本塁打で飾り、球史に華々しい歴史を刻んできた落合さんからは想像できない、しかし現実的には必要な練習を、常に意識して臨んできたことが分かるエピソードでした。

 

落合さんが監督時代、本拠地9回の攻撃で迎えたサヨナラの好機に、打撃が上手いとは言えない選手を代打に送ったことがあります。しかも、右投手に対し右打者でした。

その狙いは、選球眼の良さでした。塁は埋まり、一打でサヨナラ負けの大ピンチを背負った投手は、自ずと力むことでしょう。制球が定まっていないと見るや、選球眼の良い打者を送り込んだのです。案の定、最初の二球でボールを稼ぎ、最後は粘ってサヨナラ押出を選んで勝ちました。ヒットを打つ必要も、まして本塁打を放つ必要も無い、必要なのは一点を取って試合を終了させることです。華々しさは無くても、野球は試合終了時に、相手より一点多く勝ち越して終わることが目的なのです。

 

話を戻せば、その意味では、冒頭に挙げた併殺にはまった現役選手は、を使った野球をしていませんよね。打撃の様子を見ても、自分が出塁することしか考えていませんでした。自分がアウトになっても一点を取る打撃ではありません。

 

現役引退した大リーグイチロー元選手が、引退時に、最近の大リーグ野球は頭を使わないプレーが増えたという趣旨の話をしていましたね。その意図するところを彼は説明していませんが、やはり偉大なる成績を残してきた人たちは、頭を使い、地道な努力を重ね、そこに天性の才能の強運もあっての成功を築き上げてきたわけです。

そのすべてを手に入れることは難しいことでしょうが、少なくとも努力で得られることは、「あの人は特別だから」「昔と今は違うから」と蓋をせず、ヒントとして真似てみることも必要ではないでしょうか。落合さんの現役時代のエピソード、聞いているだけでも、なるほど!がたくさん散りばめられていました。

 

野球と題しましたが、それは通常の社会人生活も同じで、未来へのヒントが無いか、古きをたずねてみることも大切かもしれませんね。