乗り物105 在来線のはなしvol9 東武東上線に注目

1月29日 火曜日 乗り物105

 

こんばんは。

鉄道各社から、春のダイヤ改正の情報が出始めていますが、個人的には東武東上線ダイヤ改正に関心を持っていますので、ここでご紹介します。

2019年1月17日、東武鉄道の発表に注目の情報がありました。池袋を起点とする東武東上線で、3月16日の改正に合わせ特急が新設されることになりました。その名も「川越特急」だそうで、ベタなネーミングですが、個人的には悪くないと思います。

 

東武東上線の特急

東武東上線の現在の種別は、通勤ライナーであるTJライナーを筆頭に、その送り込み専用の快速急行快速急行(メトロ線直通のFライナー含む)、準急普通が設定されており、特急という種別は存在しません。

しかし、かつては「特急」が存在した時期もありました。その代表は、1949~1967年の「フライング東上」号であり、濃い青に黄色の帯を巻いた専用塗装と、ヘッドマークを装備し、特急らしさを呈していました。1954年、特急料金を導入したものの、乗車率は芳しくなかったようで特急料金は後に廃止され、やがて急行に格下げされました。

他にも、「みつみね」「ながとろ」「むさしの」「さだみね」などの愛称を持つ「特急」が存在しましたが、やがて名称は廃止され、「TJライナー」登場の入れ替わる形で、2008年6月14日ダイヤ改正を機に東武東上線から「特急」種別が消えました。

以来、およそ10年間にわたり、東武東上線に「特急」は存在しません。

 

■ 「特急」復活の予兆

2018年2月22日、「東武川越特急」「東武川越急行」「東武川越エクスプレス」「東武川越ライナー」の4つの商標登録を申請したと報じられました。

4つすべてを使うのではなく、ひとまず申請し、その候補から選択する意図だったと思われます。この商標登録申請は、2018年11月9日付ですべて認められ、登録されています。商標登録を申請することは、その商標を使用する目的があるわけですから、一部では東武東上線の特急復活を予感させる動きと、期待が寄せられていました。

そしてこのたびの発表で、「川越特急」という名称が発表されたわけです。

およそ1年前の予兆から期待していたと思しき人は、概ね歓迎のようですね。

 

■ 「川越特急」の概要

そして発表された「川越特急」の概要は、以下のとおりです。

・運行開始:2019年3月16日(土)

・運航本数:平日=下り2本+上り3本、休日=下り2本+上り4本

・使用車両:50090系クロスシート車(50092編成は「池袋・川越アートトレイン」)

・停  車  駅:池袋、朝霞台、川越、川越市、坂戸、東松山以北全駅

・特別料金:なし

使用車両こそ「TJライナー」用の流用ですが、メトロとの接続駅であり再開発中の和光市、速達列車の多くが停車するふじみ野などを通過する点で、「特急」らしさをアピールしていますね。ちなみに50092編成は現在、「フライング東上」リバイバルカラーで運行されていますが、コチラは2月上旬で運行を終え、「池袋・川越アートトレイン」に化粧直しされるようです。

 

■ 川越観光のライバル3社比較

川越は、小江戸の街並みが人気の、埼玉県屈指の観光スポットです。本線(東武スカイツリーライン)と異なり、通勤路線の色合いが強い東武東上線にあって、川越は主要な観光源なのです。川越市の統計によれば、近年は年間600~700万人程度の観光客が訪れており、仕事で立ち寄っても、駅前の循環バス乗り場や小江戸の街並みは人で溢れています。加えて、ウォーターボーイズのモデルとなった川越高校や、2020年東京オリンピックパラリンピックゴルフ競技会場川越市ですから、今後しばらくは観光需要が安定して見込まれます。鉄道会社がこれを見逃すはずもありません。

川越はJR東日本川越線西武鉄道新宿線東武鉄道東上線の3路線が乗入れますが、各社施策は別項で述べるとして、まずは平日日中、現時点の速達列車の比較です。

 ①池袋~川越<西武線は「本川越」>

f:id:Masa_S:20190119113243p:plain

池袋から川越までを直線で結ぶ東上線が、所要時間は最短です。西進してから北上する西武鉄道所沢駅での乗換が必要ですし、赤羽方面を迂回して大宮から西進するJR東日本は所要時間と運賃ともに東武鉄道劣後します。

結果的に、所要時間、運賃、乗換すべてにおいて、東武鉄道が便利です。

②新宿~川越<西武線は「西武新宿」「本川越」>

f:id:Masa_S:20190119113855p:plain

新宿から川越までを検討する場合、事情が変わります。西武線は、新宿線のみで乗換が無くなりますし、運賃が最も安く魅力的です。

JR東日本は、新宿からまるでS字を描くような路線となる分、所要時間は長く、運賃も高くなり、あまりメリットを感じません。

東上線は、和光市駅から東京メトロ副都心線を経由し、東急東横線に直通する「Fライナー」が、日中毎時2本設定されています。しかし、新宿からは丸ノ内線または徒歩で新宿三丁目駅に移動する乗換が必要ですし、運賃もその分高くなります。加えて、新宿三丁目駅は途中駅ですから、着座の可能性も下がります。

こうして見ると、新宿の場合は、西武鉄道に分がありそうですね。

もっとも、①でもそうですが、西武鉄道は駅がやや外れにあります。新宿では高田馬場に程近い西武新宿駅が起点で、川越も東武JR東日本が乗り入れる川越駅からは徒歩で10分以上離れた本川越駅に着きます(小江戸の街並みには本川越駅が近いですが)。

 

■ 川越観光客争奪戦

はっきり言えば、JR東日本はこの争いから一歩引いている印象です。

強いて言えば、都内北東部(赤羽など)からの旅客を獲得できる程度が魅力でしょうか。川越線が、実質的に川越駅で運転が分断されているため、偶然、川越が一方の基点になっているという話です。

西武鉄道は、秩父長瀞観光に注力しており、レッドアロー号以来の新型特急「Laview」導入の発表が話題となったことは、2018年11月6日付「乗り物89」でもご紹介したとおりです。
目玉が無かった東武東上線としては、是が非でも観光資源の川越を獲得したいところです。それでも通勤路線のイメージが濃く、今一つ地味な東上線で、川越と言えば東武という印象を植え付けたい意図があったのでしょう。

その意味で「川越特急」というネーミングは、わたしは優れていると思うのです。

f:id:Masa_S:20190119115710p:plain

ロゴは東武らしからぬ、崩した字体ですが、専用ロゴというのがいいですね。

加えて、「TJライナー」より早い最速26分で池袋~川越を結ぶこと、特急料金が不要であることなど、大きな魅力を秘めていることは確かです。

あとはどれだけアピールできるかに掛かっています。

 

とまぁ、個人的には「川越特急」を支持するわけですが、この路線の難点は、とにかく人身事故が減らないことです。通常運行が確保されてこその付加価値の魅力です。早くホームドア設置等、何らかの対策を講じることも積極的に行って欲しいですね。