MASA日記

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保険+α 49 台風と賠償責任2018

10月8日 月曜日 保険+α

 

おはようございます。

10月8日「体育の日」の月曜日ですが、今日は不定期テーマ「保険+α」を書きます。

2016年8月27日付 「台風と賠償責任」

2018年9月  6日付 「台風と火災保険2018」

と、台風の際の個人賠償責任保険に関する記事を書きましたが、アクセスも多く、身近でも同様な話を耳にしたため、今日のテーマとしました。

 

■ 個人賠償責任保険の適用条件

個人賠償責任保険(あるいは日常生活賠償責任保険)発動には条件があります。

①被保険者の日常生活、あるいは所有・使用・管理する建物に起因して

②第三者に損害(身体の障害または財物の損壊)が発生し

③その結果について被保険者が法律上の損害賠償責任を負担すること

によって発生する経済損失を、保険で補償するものです。

ちなみに、上の①~③は纏めて簡略的に記載していますが、約款等で確認する場合は、賠償責任保険普通約款と、個人特約の双方を併せ読むと上記内容になります。

 

■ 具体例

冒頭述べたとおり、身近で具体的な例がありました。

先の台風に伴う暴風で、物置の屋根が飛び、お隣のガレージのクルマを破損したのですが、隣人は、そのクルマを修理したディーラーから「これは弁償してもらうべき事案です。直接は言いづらいでしょうから、コチラでお隣に電話します」と言われ、後日そのディーラー担当者から知人宅に、修理代の打合せの連絡が入ったという事案です。

知人は、加入している個人賠償責任保険を使って、賠償したいと思っています。

 

一見すると、とても親切なディーラー担当者ですし、物置が飛んでしまった知人もお隣に対して負い目を感じており、うまく纏まりそうな話ですよね。しかし、違います。より具体的に言えば、このディーラー担当者は、何重にも誤解しています。

・法律上の賠償責任があるのか?

たしかに、知人宅の物置の屋根が原因で、隣人宅のクルマを傷付けた、この客観的事実は間違いないことです。しかし、個人賠償責任保険を使う前提として、上述の②(法律上の損害賠償責任を負担する)ことが求められます。

ここで言う、法律上の損害賠償責任とは、民法上の不法行為だと考えて良いです。つまり、加害者(=被保険者)の過失によって、第三者(このケースでは被害者たる隣人)に損害を与え、過失と結果の間に相当因果関係があることが条件です。

では、このケースで加害者たる被保険者に過失があるか、ですが、過失があるかどうかは、一般に予見可能性「結果回避義務」があるかどうかで判断します。

このケースで平たく言えば、誰が見ても、台風の風で物置の屋根が飛んで、何かしらの損害が発生すると見込まれていたのに、事前に何も対処しないまま放置して、結果的にこうした損害を発生させてしまったのか、ということです。

先の台風、10m以上ある港の灯台が根こそぎ折れ、工場の屋根が捲れ、巨大なトラックが横転していました。強力な台風だという触れ込みはあったことは確かですが、もはや対処のしようが無い、いわゆる「不可抗力」なのです。

したがって、個人賠償責任保険の発動条件はおろか、そもそも知人には、法律上、お隣に賠償する法的な義務さえ無いのです。

もしこれが、大した風でも無く、近隣で何も被害が無い中、知人宅だけ屋根が飛ばされたとか、以前から修理が必要と指摘されながら放置していたという事情でもあれば、知人に法律上の賠償義務が発生する可能性もあるかもしれませんが。

 

・誰が立証するのか?

ここまで述べたとおり、一般的には「不可抗力」ですが、それでも「弁償して欲しい」場合に、誰が知人の法律上の損害賠償責任立証しなければいけないのか、です。

これは、被害者である隣人が立証する必要があります。不法行為の中で、特殊不法行為でない限り、いわゆる一般不法行為の場合、その立証は被害者がしなければいけません。したがって、隣人の側で、わたしの知人に落ち度があったという、より具体的に言えば、「予見可能性」があったにも関わらず「結果回避義務」を怠ったことを、立証する必要があるのです。この立証がなされない限り、賠償する必要がありません。

 

・ディーラー担当者は当事者か?

今回、ディーラー担当者が気を利かせて交渉していますが、これは間違いです。自動車事故に絡むと、代理店(自動車ディーラーも代理店になっているケースが多いです)も交渉慣れしますが、金銭に関わる法律上の交渉は、弁護士の職域であって、自動車保険等の一部例外を除いて、法律家か、当事者たる個人で解決する必要があります。

したがって、加害者でも被害者でも無いディーラー担当者が、わたしの知人(加害者)を相手取って、「お宅で弁償してください」「いくら払えますか?」という話をする権利はありません。知人は「当事者ではない方とお話することはできません」と断ることができる、むしろ断るべき話なのです。

 

もっとも、隣人宅どうしで気まずいという道義上の責任、そして少し慣れたディーラー担当者に言われた焦りなど、関係するすべての人の気持ちも分からなくは無いですが、台風によって発生した損害でこうした話が出た場合、”基本的には不可抗力で賠償する必要は無い”ということを頭の片隅に置き、冷静に対処する方が良いと思います。

 

以上、不定期テーマ「保険+α」でした。