9月4日 火曜日 乗り物81
こんばんは。
火曜日テーマ「乗り物」、鉄道ネタは7月17日以来となります。鉄道のうち、在来線に関するネタは「在来線のはなし」シリーズに一本化します。
今夜取り上げるのは、現在は地味な相模鉄道が、首都圏の鉄道に地殻変動をもたらすかもしれない、という夢のある話です。
■ 相模鉄道とは
いつものように、最初に相模鉄道について触れておきます。
通称「相鉄」(そうてつ)と呼ばれるこの会社、1964年に設立され、神奈川県中央部を基盤としながら、首都圏の大手私鉄で唯一、東京都に乗り入れず、直通運転も行っていないなど、個性的な存在として注目を浴びる会社でもあります。
■ 直通運転構想
そんな”我が道”をゆく相鉄に今、大きな2つの直通運転構想が持ち上がっています。
①相鉄・JR(東日本)直通運転構想
相模鉄道本線西谷駅から相鉄本線と分岐し、JR東海道貨物線横浜羽沢駅(貨物駅)に地下で到達、JR東海道貨物線に合流することになります。
事業計画では、朝ラッシュ時毎時4本、その他の時間帯は毎時2~3本の直通運転を想定しており、多いとは言えないものの、乗り換えなしで都内に入れるのは大きな魅力でしょう。現時点で認可されているのは、JRの新宿駅までとのことですが、さらに先まで認可される可能性もあります。相鉄線内は10両編成ですから、湘南新宿ラインより埼京線のイメージが近いのかもしれません。但し、東海道線や宇都宮線・高崎線にも10両編成があるわけで、湘南新宿ラインにも10両編成が走る可能性もあります。
JR直通運転は、埼玉や北関東方面も将来の射程に入れつつ、新宿駅を目指すことになることでしょう。2019年度下期の運転開始を見込んでいます。
②相鉄・東急直通運転構想
新駅「羽沢横浜国大」で分岐して日吉まで約10.0kmの地下線で、途中に新横浜(仮称)、新綱島(仮称)の2駅を設置を予定しています。開業は2022年度下期と少し先ですが、コチラも大きなプロジェクトです。
事業計画では、朝ラッシュ時毎時10~14本、その他時間帯は毎時4~6本と、JR直通運転に比べて本数が多い印象です。直通先の東急電鉄では、目黒線が日吉まで直通していますから、それとの直通運転が主とされていますが、副都心の主要駅である渋谷駅をターミナルとする東急東横線への直通運転割合が気になります。
■ 劇的変化の可能性
先に書いた通り、JR直通運転では、大崎・新宿に入り、やがては大宮・宇都宮・高崎といった北関東の主要都市まで伸びる可能性を秘めています。
東急直通運転では、目黒・渋谷という、こちらも魅力的な街を手に入れるわけですが、個人的には途中に設置される新横浜駅(仮称)も重要だと思います。従来は、何度も乗り換えて品川駅に行っていた沿線住民の方が、直通で新横浜駅にアクセスできれば、品川駅から新横浜駅へ、東海道新幹線の乗降の流れが変わる可能性があるからです。
また、東急東横線で日吉・渋谷へと乗入れれば、その先には、既に直通運転を行っている東京メトロ副都心線を経由し、西武池袋線や東武東上線という大手私鉄も控えています。JR直通運転に勝るとも劣らぬ大きな魅力が控えているわけです。
■ 新型車両
今年早々に記事で目にしたのが、相鉄20000系という新造車です。ヨコハマネイビーブルーと銘打つ車体色、エッジが効いた車体は機関車がモチーフだそう。一見しても、これが日立のA-trainシリーズとは分からない出来栄えです。
これはJR直通用ではなく、東急直通用として製造されました。3年早く開業するJR直通用ではなく、東急用を先に作ったには理由があります。相鉄で既に運用されている車両は、JR東日本のE233系ベースのものがあるため、急ぐ必要はありませんでした。
一方の東急電鉄は、車両規格が異なり、機器の配置や方式、操作性も異なるため、早めに訓練を重ねて慣れる必要性があったためと言われています。
鉄道ジャーナル記事によると、「見学した20000系の運転台の保安装置切換スイッチには、西武と東武の表示もあった」とあるので、やはり将来は西武・東武にも乗り入れる可能性を想定した車両ということになるでしょう。
■ 鍵を握る
近年は、都心回帰の傾向が強いと言われていますが、一方で都会に近い近郊都市を希望する方も少なくないことでしょう。
海老名と聞けば、東名高速道路のSAが有名ですが、そこに居を構えると仮定します。クルマを使えば、渋滞の名所、大和トンネルを通らずに東海や西日本方面に向かうことができます。海も近く、自然もあります。
都心に通勤するには、JRで新宿に、東急で渋谷に出ることもでき、時間は1時間ほどと適度です。しかも始発駅ですから、着座することも可能です。
出張と言えば、今までは品川駅が主でしたが、東急直通線で新横浜駅(仮称)に降り立てば、東海道新幹線に乗車でき、品川~新横浜分の時間と運賃が削減できます。
この数年で、もしかすると最も劇的な変化を起こし得る鉄道会社、それが相模鉄道なのかもしれないと思わせてくれるポテンシャルを秘めていると思います。