MASA日記

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時事の戯言35 地方創成

9月3日 月曜日 時事の戯言35

 

こんばんは。

実質的な次期総理大臣を決める自民党総裁選の最中ですが、その主要テーマの一つに「地方創成」があります。首相官邸HPによると、「地方創成」とは、「人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生すること」と定義づけられていて、たしかに現在の日本にとって克服すべき重要な課題であることは間違いないでしょう。今夜は、この「地方創成」について取り上げます。

 

■ わたしのこと

このブログでも、何度か書きましたが、わたしは四国の徳島県出身、大学進学までを徳島県で過ごしました。四方八方に山と川と田んぼしかない長閑な環境です。

大学では北海道に渡り、当時は人口177万人だった札幌市中心部で暮らしました。駅南側は大通やすすきのまでビルが立ち並ぶものの、北側は学生街です。

就職した企業では転勤を伴いました。東京本社で5年間勤務していた大半を、千葉県松戸市の社員寮で暮らしましたが、4年半ほど経過したとき、現在の戸建て(首都圏某所)を購入しました。しかし、程なくして異動があり、単身、福岡県福岡市に引っ越しました。福岡市2年の勤務後、今度は宮城県仙台市で3年、ここで東日本大震災を経験します。その後、広島県広島市での2年の勤務を経て退職、転職して現在に至ります。

北海道、東北、関東、中国、四国、九州と住み、各地では仕事で近隣県を訪れました。日本の47都道府県すべて、仕事か旅行で訪れています。わたしの経歴です。

 

■ 地方内格差

地方創成を大雑把に捉えるならば、都会に偏り過ぎた人口地方に配分したいという政策と言えるでしょう。しかし、この構図は地方の中でも、同様なのです。

たとえば北海道。わたしが暮らした札幌市は、現在およそ200万人まで人口が増加しています。道内では、外国人移住が盛んである倶知安町など一部地域を除けば、道内の人口が札幌近郊に向けて集中し、その他地域は過疎が進行しているわけです。

仮に完全均等と行かずとも、函館、旭川、帯広、釧路、稚内、網走・北見といった主要都市に配分しようとすれば、札幌に対するディスアドバンテージを埋めるほどの相当な無理をしなければならず、現実的とは言えないでしょう。

翻って、日本全体を見渡したとき、1都3県や中京・京阪神の都市部、これに各地方の主要都市を加えた場所と、その他多数では、既に大差がついてしまっています。その差を埋めることは、個人的には無理だと思っています。

 

■ 原因

この大差は、野球に例えれば、1回から2点ずつ得点を重ねたチームと、無得点行進を続けたチームの試合で、現在8回終了時点といった具合です。もはや大逆転など不可能に近く、地方としては打つ手無しといった感覚です。

徳島の田舎で生まれ育ったわたしは、徳島県が好きですし、田舎に戻るとその景色や空気に触れて落ち着くのは事実です。しかし、だから徳島に住む、とはなりません。自然環境以外に魅力を感じないのです。

「vs東京」がキャッチフレーズの徳島県を例に、東京都と比較してみます。

・労働環境

絶対的な企業数が少ない。2017年の労働者の平均年収、東京都が6,155,600円に対し、徳島県は4,405,600円と東京都が徳島県約1.4倍となっています。

・物価

収入に応じて地方の物価が安ければ良いですが、肌感覚では違います。むしろ、大量仕入・大量消費ができる東京都の方が、多くの品目で物価は安いです。

不動産でも、ほぼ同面積・同程度であるわたしの家と従兄弟の家、ともに戸建てですが、わたしの家の方が800万円ほど安く買っています。

・教育

子を持つ親にとって、教育環境は大切です。なるべくなら、教育レベルの高い大学に進学させたいと思うことでしょう。東京都は、その周辺も合わせて数多くの選択肢がありますが、徳島県では選択肢が限られます。わたしもそうですが、文系で教員以外を学ぶ場合、ほぼ県外に出るしか選択肢が無い状況です(私大はありますが)。

交通機関

徳島県で暮らすには、1人1台のクルマが無ければ身動きの自由が利きません。クルマを持てば、購入費に加えて税金、ガソリン、保険と、維持費も掛かります。公共交通機関は、市内中心部こそ循環バスがありますが、他は正直、不便です。

東京都は言うまでも無く、電車もバスも本数が多く、運賃も安いです。クルマを持つことに比べて、はるかに経済的と言えるでしょう。

 

さらに、数週間前、田舎はコミュニティに溶け込むのが難しいというネット記事を読みました。これには全く同感です。徳島県で生まれ育ったからこそ、今でも徳島に行けば、”よそ者”扱いされずに済みますが、全くの部外者に対しては寛容とは言い難い県民性です(北海道や福岡などはとても寛容でした)。親のことも知っていて、小さい頃から見ている人には”よく来たね”ですが、見も知らない人には警戒心があります。

結果的に、地方=人が温かいという理想(実際に温かい人もいますが)を抱いて地方に移住しても、それが幻想に終わってしまうケースもあるのだと思います。

その意味では、方言も一つのネックかもしれません。関東から転校してきた子が、方言を話せないことが原因でイジメられていましたが、逆も然りで、関西風な方言を話す徳島県から、首都圏に出ると馴染めないこともあるでしょう。

こうして、野球の例で言えば、1回から少しずつ得点差がついた以上、もはや徳島県に移り住むという選択肢は無く、首都圏で暮らしながら、県人会に出たり郷土料理の店で舌鼓を打っては田舎を懐かしむ暮らしに慣れてしまうわけです。

 

■ 「気になるニュース」

9月1日付で投稿した「気になるニュース」で書きましたが、東京一極集中の是正を狙い、地方に移住して起業・就業した人に対し、引っ越し費などの必要経費を最大300万円を補助する新制度を見越し、1228億円予算計上がされました。

その経費はたしかに嬉しいでしょうし、助かります。しかし、その一時的なお金では、田舎暮らしに飛び込むだけの魅力を感じません。

受け入れる側の地方には、上述のようなディスアドバンテージが、そこかしこに散らばっていて、二の足を踏む人は多いはずです。

 

■ 新幹線・高速道路

この夏、徳島で、四国に新幹線を!という趣旨の看板を見ました。個人的な見解ですが、不要ですし、徳島県のためにも辞めた方が良いと思います。

徳島県は、大鳴門橋明石海峡大橋という2本の橋で経済発展を夢見た過去がありますが、結果は人口の流出でした。陸続きで無かったがために支店を置いていた企業は、京阪神に支店を置いて徳島県日帰り出張先になりました。高速バスが便利になり、若者は神戸三宮や大阪梅田に買い物に出るため、駅前の商店街は人影が消えました。

新幹線を作っても、都会から地方への人の移動が起きず、過去と同じことが起こるでしょう。誘致によって一時的にお金が入るとしても、長期で見ればムダの方が大きいと個人的には思うのです。

 

■ 爺の戯言

地方に移住すればお金を出す。地方には新幹線や高速道路、ハコモノを大量に作って、都会と同じように見える環境を作る。これが地方創成だとすれば、間違いでしょう。

首相官邸HPの記載のキーワードは、「それぞれの特徴を活かした」だと思います。東京都や大阪府の縮図を作ろうとしても、何十年と積み重なったアドバンテージに、地方は到底追いつくことはできません。

徳島県知事の優れた政策の一つに、IT系人材の受入があります。神山町という山間部の小さな町に光回線を張り巡らせ、空き民家を提供する等、受入を促進しました。結果、オフィスが無くても仕事ができるIT系の方々が、都会から多く移住しています。

こうした地方の今ある資源を活かした創成を考えるべきではないでしょうか。

東京都を頂点とするレースでは、最下位争いをしていても、回れ右をすれば頂点に立てる可能性があります。いかに田舎を活かすか。そうした地方自治体の特徴的なイデアに対して国が資金を出すことはアリだと思うのです。

徳島県で言えば、都会になる必要性は一切ありません。手つかずの南四国特有の自然を残して欲しいです。徳島県を観光地としてPRしたいならば、船で何時間もかけて不便を楽しむ小笠原諸島のような、独特な世界を築く方が良いです。阿波踊り問題で醜聞を立て、日本中に知られるようではいけません。

それでも国が、人口格差を是正したいならば、少なくとも地方からの今後の人材流出を止める一つの方法として、国公立大学主要学部均等化はアリだと思います。大学進学は地方を出る大きなキッカケです。もし徳島県に文系学部が揃っていれば、「安いんやけん、親元におんない(安く済むから親元にいなさい)」という親御さんも少なからずいるでしょう。

各地に住み、各地で暮らしてみたわたしにとって、地域によって人々の暮らしも違えば考え方も違うことがよく分かります。都会に人が集中することも、それなりの理由がありますし、地方が都会化しようとして失敗するにも理由があります。

無理せず、違う土俵で勝負し、ありのままを活かす方策を地方が考えることから地方創成が始まるのではないか、と爺は思うのです。すべてがLittle東京ではツマラナイと考えるのですがね。まぁ、戯言としてお聞き流しください。