MASA日記

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保険+α 第42回~個人賠償責任保険の認知度~

3月29日 木曜日 保険+α 第42回

 

こんばんは。

今夜の「保険+α」は、個人賠償責任保険の認知度について書きたいと思います。

 

■ ある記事

3月23日付の朝日新聞デジタルの記事です。

飛び出した犬を避けようとして転倒した被害者の男性が、飼い主と保険会社を相手に、3,498万円の損害賠償を求めた裁判で、大阪地裁は1,284万円の賠償を認めました。損害の内訳は、治療費等の実費に加え、右手首が曲がりにくくなる後遺症を負ったことによる逸失利益等を含んでいます。

飼い主がリードを放していたことが事故の原因として認定されたこの裁判の記事について、気になったのはコメント欄でした。「こういう場合の保険ってあるのかな?」というコメントに対し、8000近い「いいね」ボタンが押されています。

これは、すなわち、個人賠償責任保険がまだまだ認知されていないことを示すことだと思い、今回のテーマに選びました。

 

■ 個人賠償責任保険の概要

現在、個人賠償責任保険は単体では販売されていません。個人賠償や日常生活賠償という名前で、特約として、あるいはプランの一つとして存在しています。

ただ、いずれの場合も、①被保険者の日常生活に起因すること、②被保険者が法律上の賠償責任を負うこと、③相手方に損害が発生することを条件に、免責事由に該当しない限り支払対象としています。

さて、①の条件は、業務上ではないことを意味し、まさに個人賠償責任保険と企業の賠償責任保険を区別するための条件です。③は、相手方に損害が無い以上は保険というお金を使った解決が図れないための条件です。

問題は②です。今回のケースは、「飼い主がリードを放していた」という事実を認めており、民法718条「動物占有者等の責任」に基づく責任認定と思われます。

いわゆる不法行為責任の中で、立証責任の転換を図っている特殊不法行為責任の一つが718条です。動物を飼う、管理するという行為は、日常生活の中で起こること(①)であり、その管理が不十分なために相手方に損害が生じ(③)、結果的に民法718条の責任を負う(②)わけですから、本件は個人賠償責任保険の対象となる保険事故です。

※但し、被害者が保険会社を相手に訴えている点は疑問があります。加害者である契約者が法的に負うべき責任について、保険会社はその契約者の経済的な損失を補てんするのであって、直接被害者に対して賠償義務を負うものではありません。実務上、被害者への直接支払を行うケースもあるようですが、基本は被害者から保険会社への直接請求権は認められていないからです。

しかも、個人賠償責任保険は、被保険者の範囲が幅広いです。多くは、記名被保険者(=契約者と思ってください)、その配偶者、生計を一にする同居の親族、生計を一にする別居の未婚の子を被保険者の範囲としていますので、たとえば小さな子どもが犬のリードを放してしまったとしても、その親が個人賠償責任保険に加入していれば、補償対象となるのです。

 

■ 個人賠償責任保険の認知度の低さ

話が少し逸れてしまいましたが、先に紹介したコメントと、それに対する「いいね」の数を見ると、いかに個人賠償責任保険の認知度が低いかが分かります。

加えて、当該コメントの書き出しは、「自転車などの保険は最近充実してきたけど・・・」とありました。各地で発生した自転車と歩行者の衝突事故をきっかけに、いわゆる自転車保険なるものの存在が認知されてのコメントだと思います。

しかし、実は自転車保険に加入していなくとも、それ以前から、相手に対する賠償は個人賠償責任保険で支払対象となっていました。

なぜなら、日常生活において(①)、衝突により相手方に損害が発生し(③)、被保険者は法律上の賠償責任を負う(この場合は、民法709条や、場合により民法714条など・・・②)ためです。(なお、電動自転車の場合は約款上の免責事由に該当するケースもあるため、要確認)被保険者についても、同居の幼い子が起こした自転車事故や、同居の高齢者が起こした事故のみならず、大学に進学した子どもが起こした事故であっても、世帯主が個人賠償責任保険に加入していれば補償対象となります。

保険適用になるのだろうか?と多くの方が思われるのは、②の条件を判断する際、民法など法律上の知識を必要とするためですが、実はとても幅広く対象となるのです。飼い犬がけがをさせたケース、自転車事故のケース、建物からの物体落下による他人への損害や、漏水による階下への損害、子どものイタズラによる損害などが具体例です。

自転車保険の認知度が上がっているのはとても良いことですが、既に補償されている内容に重複加入する必要はありません(損害賠償以外の目的を持つ場合は別ですが)。

たとえば3メガの自動車保険に付帯される個人賠償責任条項は、補償される額が無制限というものもあり、もはや他の個人賠償責任保険は不要です。

新生活にあたり、自転車保険等への加入を検討中の方も、今一度ご自身の個人賠償責任保険の加入有無を確認されると良いと思います。掛け金が安く、自動車保険、傷害保険、火災保険等にセットされているのを見落としていることも少なくないと思います。

 

以上、ご参考まで。

 

※なお、記事中にニュースに対するコメントを引用していますが、コメントやコメント者、「いいね」を押した方を非難する意図は一切なく、個人賠償責任保険が認知されていないことを示す例として引用しています。むしろ、個人賠償責任保険の認知度の低さに気づきを与えてくださったコメントと思っています。誤解無いよう念のために注釈しておきます。