MASA日記

働き方、お金のこと、趣味のこと、ニュースなど、徒然なるままに書いています

時事の戯言 第12回~裁量労働制問題~

2月26日 月曜日 時事の戯言第12回

 

こんばんは。

今夜の「時事の戯言」は、政治ネタになりますが、政府が今国会での成立を目指している”働き方改革”の一環である裁量労働制について戯言を述べたいと思います。

 

■ 裁量労働制とは

労使間で結ばれる雇用形態で、労働基準法が定める「みなし労働時間」の一つとして、実際の労働時間に関係なく、所定の時間を働いたものとして残業代が支払われるものです。業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分等を大幅に労働者の裁量に委ねられるため、よりフレキシブルで自由度の高い働き方を実現させる最良の手段として、国会でも盛んに議論が行われているところです。

 

■ 国会で起きている問題

政府与党が今国会の目玉と位置付けた働き方改革ですが、その政府答弁の基礎である厚生労働省の2013年度調査結果に、極めて異常なデータが発見されました。

具体的には、一般労働者(非裁量労働者)の1週分の残業時間が1カ月分より長い、裁量労働者の労働時間が1日1時間、といった、普通の感覚で見ればあり得ないデータが混入しており、政府与党も火消しに走る形となりました。

様々な働き方を認めて、有効な労働力を最大限に活かしたいという目的は、野党にもこれを認めて議論する動きがありますが、その叩き台であるデータが異常であれば議論が成り立たないだろう、と野党は追及を強めているのです。

これには加藤勝信厚生労働大臣も、データに違和感があることを認め、首相も役所のミスであると答弁しています。お膝元の自民党竹下亘総務会長からは「高校生なら分かる間違い」と苦言を呈される始末で、早急に軌道修正したいところが本音でしょう。

しかし、総選挙で自民党に圧勝を許した野党としては、最大の目玉と謳った働き方改革で露呈したミスで攻勢に転じたい気持ちもあり、首相その他がデータ捏造を指示したのではないか、それを役所が忖度したのではないか、と議論を広げているわけです。

結局は政争の具になり、本論の部分はやや放置気味なのは、日本の国会のあるあるネタですから、特に珍しいわけでもありません。

 

■ 裁量労働制の実感

そんな国会劇場とは別に、圧倒的多数を占める与党が数で押し切れば決まるわけですから、近い将来、我が身に降りかかる問題となることとして考える必要があります。

わたしは前職時代の終盤、会社が導入した裁量労働制で働いていました。その経験から思うところは、とても複雑なのです。

導入の背景は、内部告発があり労働基準監督署の調査が入りました。結果的に、サービス残業の実態が判明し、遡って不払いの残業代を会社が支給することとなったわけです。同時に、不払いを無くすという大義名分と、個々人の裁量を存分に活かした働き方の推進という綺麗ごとを並べて導入されたのが裁量労働制でした。

ちなみに、裁量労働制の適用は、主任という肩書(新入から4年目以降)以上すべてに適用されましたので、若手は申告制の残業が維持されました。

さて、こうして鳴り物入りで導入した裁量労働制ですが、前職の同僚に聞いたところでは、現在では廃止され、かつての制度に戻っているそうです。

まず、年度初めに裁量労働制で働くことへの署名を求められます。もちろん、署名しないことも可能ですが、署名しない場合にどのような扱いを受けるかは、多くの方の想像できるところでしょうから、敢えて書きません。

晴れて裁量労働者となると、与えられた仕事をテキパキこなせば、場合によって短い労働時間で退社でき、公私ともに充実できるだろう、と思うかもしれません。しかも、最初に書いたとおり、みなし労働時間として一定の残業代が支払われるのですから、こんな素晴らしい制度は無いと思うわけです。

しかし、会社には定時があり、対外的に開けておく時間帯にさっさと退社することなど、ほぼ不可能でしょう。また、仕事ができる人のところに仕事が集中するのも世の常すね。わたしの在籍した会社の場合、毎月のみなし残業時間が約20時間でしたが、つまりは毎日1時間少々の残業時間内にすべてを終える必要があり、それを超えれば実質的にサービス残業になるわけです。普通に言えば、まず無理な状況です。

今回の法案も経済界からの要請によるものと言われていますが、労使の使う側に立った考えで見れば、優秀な人材は限られた時間で仕事をこなせる、それに対して毎月定額を支給するという大義名分が、法制度によって担保されることになります。しかし、本音のところでは、余分な残業代を払わず、決められた金額で残業させられるということもあるでしょうから、裁量労働制ブラック企業の隠れ蓑にされないか不安があります。

もっとも、わたしが複雑な心境だと述べたのは、ロクに働きもせず、残業代が支払われる時間になると働き出す年配社員や、仕事の効率が悪い新入社員がありのままの残業代を申告している実態も見ており、そこはどうにか対応すべきだとも思うからです。

 

■ 時事の戯言

こうして国会では、データが捏造だの違うだのと議論をされていますが、肝心の労働者の待遇改善について早く議論をして欲しいと思っています。

ブラック企業裁量労働制への署名を暗に強要した上で、どれほど時間外労働をしても「それは君の能力の問題だ」「決められた給与は支払っている」と切って捨てるという現象も、起こり得るでしょう。働いた時間と、そこから得られた成果に対して、適正に評価がなされ、適正に給与が支給されるという当然の仕組をいかに確保するのか。裁量労働制が一つの手段だと言われていますが、そもそもの評価の在り方や、実態をもっと真剣に踏まえなければ、場合により悪法になりかねません。

そのあたりのバランスの難しさが課題でしょうね。ま、爺の戯言ですけど。

 

当面は国会の成り行きを見守るしかないですね。