MASA日記

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保険+α 第36回~楽天 朝日火災を買収か~

2月15日 木曜日 保険+α 第36回

 

こんばんは。

半月ほど前、1月29日に各紙が報じたところによると、IT大手の楽天は、野村ホールディングス傘下の朝日火災海上保険(以下「朝日火災」)の株式を公開買付し、野村ホールディングス各社が持つ全株式を取得し、買収する見込であるということです。

 

楽天が損保業界への参入を決めた背景としては、約9300万人の会員のデータを活用し、家族構成や生活パターンに合わせた新たな保険商品の開発などにより、自社サービスへの囲い込みを図る「経済圏」構想があると言われています。また、今後はAI技術などを活用することで、営業活動の人件費を削減できる等のメリットも見込まれています。既に生命保険業に参入済であり、これで傘下に生損保を揃えることになるわけです。

 

こうした楽天の動きについては、損保業界に大変革をもたらすであろうと見る向きも少なくありません。旧態依然とした業界にあって、最先端の技術と大量の顧客を持つ楽天が参入するとなれば、一気呵成に勢力図を塗り替えるのではないか、とさえ論じる人もいるほどで、このニュースは衝撃と関心を持って受け止められているようです。

 

この買収が新たな風を吹き込むことは、わたしも間違いないと思いますが、一方で、業界勢力図に大きな変革をもたらすことは難しいのではないか、と思っています。

その理由は、損保業界の両輪である営業について風穴を開けられたとしても、もう一つの損害調査(会社により「損サ」「損調」「査定」「サービスセンター」等の呼び方があるようです)についての対応が見えないからです。

少し脱線しますが、1996年、生損相互参入が解禁となり、損害保険会社が生命保険会社を、生命保険会社が損害保険会社を持つという動きが起きたのですが、あれから20年を経た今、前者は業界で勢力拡大を続けているのに対し、後者は早々に撤退、ほぼ損害保険会社に吸収されたという歴史があります。資金力で見れば、生命保険会社は損害保険会社を圧倒している中で、なぜこうした結末に至ったかと言えば、損害保険事業に欠かせない損害サービスのネットワークを構築できなかったからだ、と言われています。

営業活動については、生保業界を代表する生保レディと呼ばれる募集人が、全国津々浦々まで活動するわけですが、損害サービスについて体制を築けなかったのです。これは、今後、楽天が損害保険事業を成功させるために不可欠な要素と考えます。

 

これに対しては、買収する朝日火災の損害サービスネットワークを使えば良いと言われるかもしれません。しかし、朝日火災が持つ損害サービス拠点は全国で11か所(2017年現在)です。ちなみに、東京海上日動が244か所、損保ジャパン日本興亜も200か所以上、三井住友海上が227か所と、3メガと呼ばれる大手損保に遠く及びません

 

保険は何のために入るのか?という問いに、ほぼ全員が「万が一に備えるため」と答えるでしょう。その「万が一」が起きたとき、最寄りの損害サービス拠点が活動する他、馴染みある代理店がサポートしてくれる安心感こそ、代理店経由で保険加入するメリットであり、かつては代理店経由での加入が一般的だったのです。

しかし、最近はネット経由での加入も増えています。人件費が削減される分、保険料も安いからです。但し、ネット保険の多くは損害サービス体制を持たず、大手損保のネットワークを借りているのが現状です。したがって、保険の入口の部分は多様化が進んでいるものの、出口については3メガ損保への依存体制は崩せていません。3メガ損保のいずれかを傘下に収めるなら話が違ってきますが、朝日火災の損害サービスネットワークを活かしても、万全とは言えない状況だと思うのです。

 

結論的には、手間を省いて安く加入したい、という加入時重視のライバル社を淘汰していく新しい損保ビジネススタイルを構築できるという見込は、大方の予想と違いませんが、損害サービスネットワークを張り巡らせない限り、3メガを巻き込むほどの大きなうねりには発展しないだろう、と予想しています。

この問題に楽天が解決策を見出すのか、興味深いところであります。