MASA日記

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乗り物 第52回~鉄道会社の事故回避義務~

1月9日 火曜日 乗り物第52回

 

こんばんは。

本来、航空機についてのネタを書くつもりで準備していたのですが、正月早々続く異常事態に、ネタ差し替えをすることにしました。テーマは、鉄道会社の人身事故です。

 

■ 正月三が日の悲劇

穏やかな晴天が続いた関東の正月三が日。初詣に、初売りに、初仕事にと向かう人々は、鉄道の休日ダイヤを確認して駅に向かったことでしょう。そんな人々を混乱させるのが人身事故です。この正月に、3日連続4件の人身事故が発生した路線があります。東京屈指のターミナル池袋駅を起点に、埼玉県北西部へと続く東武東上線です。このブログでも、幾度か事故多発路線として取り上げましたが、今年は異常な幕開けでした。

 

①1月1日 22:25分頃 柳瀬川~みずほ台で人身事故

 岩手県一関市内に住む自営業の男性64歳が、下りの普通電車にはねられ死亡。

 男性は、埼玉県新座市内の親戚宅から、前日より行方不明となっていた。

②1月2日 05:58頃 坂戸~若葉で人身事故

 下りの普通電車にはねられた60~80代の女性(身元不明)が死亡。

③1月2日 17:50頃 朝霞台駅構内

 通過する快速急行電車にはねられた20~30代の女性(身元不明)が死亡。

④1月3日 07:05頃 鶴瀬~ふじみ野

 富士見市在住の女性45歳が踏切内に侵入し、下り急行電車にはねられ死亡。

 

■ 人身事故の発生場所は大きく2つ

本来、人身事故の原因として、飲酒やホーム上でのふらつきにより、侵入した電車と接触する場合、もう一つは、自殺を図ってホームや踏切に侵入する場合が考えられます。

上述した4件の人身事故は、いずれも自殺志願者だったと見られ、ある意味で鉄道会社も被害者であることは間違いありません(最大の被害者は、利用している乗客であることは言を待ちません)。

しかし、たとえばホームにおける事故については、ホームドア設置という方法をもって、相当程度回避できることは事実です。一定のコストが掛かることで、事故の一大発生場所であるホーム事故を防げるわけです。

かたや、踏切その他からの線路内侵入は、連続高架により道路との交差を排除しない限り防げないため、莫大な費用を要することから二の足を踏むのは分かります。

 

■ 予見可能性と結果回避義務

民法を学ぶと、予見可能性」と「結果回避義務」という言葉に出くわします。起こる結果に対して、こうなるであろうという見込が可能であったか、可能であったとして、相応の回避義務を講じたか否か、その2つが「過失」の有無の判断材料となるのです。

これを今回の人身事故に当てはめて考えてみます。

東武東上線の人身事故発生件数推移

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2011年、2016年の2年を除くすべての年で、全国の鉄道路線別人身事故発生件数ワースト5に名を連ね、とりわけ私鉄路線ワースト1位を5度経験しています(ワースト2位1度、ワースト3位も1度です。なお、2018年は本日現在)。

つまり、”まさか東武東上線で人身事故が起きるとは思わなかった”と鉄道会社が言える状況では無かったということです。実際、ネット上でも、「またか」「3日連続とか年明けから快調だな」というユーザーの声、定時運行する姿に「今日はダイヤどおり走ってる」と揶揄するような書き込みや、職員に対し「今日も後始末お疲れ様です」とねぎらう書き込みも見られました。

東武東上線の人身事故対策進捗状況

同社のHPによれば、現時点で稼働しているホームドアは、全38駅中1駅(和光市駅)のみであり、2017年度末まで完了の川越駅を含めても、まだ2駅です。

東京オリンピックパラリンピック開催の2020年まで含めても、志木駅・朝霞駅を加えた4駅にしかホームドアが設置されない予定です。

その他は、ホーム両端にブルーライトを設置して自殺欲を減殺する措置や、職員による見守りを増やすといった苦肉の策しか練られていません。

大都市圏の私鉄や地下鉄でもホームドア設置が進んでいる中で、「予見可能性」はかなりあるはずの東武東上線が、「結果回避義務」の一つであるホームドア設置で遅れているのを見れば、ある意味で被害者でありながら、鉄道会社として結果回避義務を十分に果たしているとは言えない状況だろうとわたしは思います。

 

■ 鉄道会社のつとめ

鉄道会社は、社会インフラの一端を担う重要な仕事です。イベントや観光列車も話題集めに重要ですが、何より、日頃の生活の足として、「定時」に「安全」に運行することこそ、最大のつとめでしょう。乗客からの運賃収入と対価として、輸送を担うわけですから、そのつとめを最大限果たすよう、努力をすべきだと思います。

気になるのは、上述の事故のように、自殺志願者が”自殺スポット”のように同線に飛び込む連鎖が起きないか、ということです。これだけ常態化すると、鉄道での自殺を目論む人は、なるべく確率が高い場所を探すでしょう。1件目の岩手県内の男性が飛び込んだ、という事故が、その兆候でないことを祈るばかりです。