MASA日記

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乗り物 第46回~通勤ライナーの競争激化~

11月28日 火曜日 乗り物第46回

 

こんばんは。

今夜の「乗り物」は、首都圏等で競争が激化している「通勤ライナー」についてです。※なお、「通勤ライナー」は特定列車の種別や名称ではなく、本稿では、着座制の通勤列車を総称して「通勤ライナー」と表記します。また、ここでは首都圏私鉄各社のみを対象にした記載を行います。

 

■ 2018年は東京西部で競争激化の見込

ここにきて各社からの発表を見ていますと、多摩、そして拝島(昭島市)という東京西部と都心を結ぶ競争が、2018年は激しくなる見込です。

①多摩

京王電鉄は、およそ16年ぶりとなる新型車両5000系を導入し、9月29日より一般の列車として運行を開始しています。但し、この車両は本来、2018年春に新設される有料の座席指定列車(名称未定)として使用される車両で、一足早くアピールする狙いがあったものと思われます。この「通勤ライナー」は、新宿発京王八王子新宿発橋本行として運行されることが決まっており、当面は平日および土曜休日の夜間、下りのみの設定となる見通しです。このうち、新宿-京王多摩センターで競争激化が見込まれます。

相手は小田急電鉄です。小田急は悲願の複々線化を果たすことで、来年3月より所要時間の短縮と、始発駅増加のメリットが生まれます。11月1日、小田急多摩センター始発の通勤急行を6本新設すると発表しました。多摩センター利用者にとっては、始発から座れる可能性が高くなります(もちろん途中駅から乗車する人による車内混雑は我慢しなければなりませんが)。

では、どちらが優勢か、現状の利用者数では京王が小田急をリードしています。しかし、朝の所要時間は、通勤急行新設により小田急は約40分で新宿に乗り入れることになり、約50分を要する京王より短時間で新宿に向かうことができます。但し、夕方下りについては依然として京王が最短31分と早く、所要時間の勢力図が朝夕で変わります。

料金については京王が値下げを発表しており、明らかに小田急を意識しています。京王が8月30日に発表した内容では、小田急に対し51円安い普通運賃設定になる見通しです。但し、仮に帰宅時に「通勤ライナー」を利用すれば、その分は加算されます。

こうして、新宿と多摩センターの間で熾烈な競争が始まっています。多摩センター利用者にとって、京王のメリットは、新型車両・普通運賃の安さ・所要時間の短さ(朝除く)・「通勤ライナー」導入による帰宅時の快適さ(但し有料)です。一方の小田急のメリットは、朝の所要時間の短さ・朝の始発列車の多さです。つまり、朝は小田急が便利で、帰宅時は京王が便利という、利用者泣かせな選択肢になるでしょう。

人間の”慣れ”を加味すれば、依然、京王がリードするでしょうが、とにかく座りたい(特に朝)人は、行きも帰りも始発のメリットを得られる小田急に流れるでしょう。

②拝島

拝島に関しては、JR中央線青梅線の電車がありますが、2018年春に西武鉄道「拝島ライナー」なる座席指定制の有料列車を導入します。

この春に導入された、メトロ有楽町線への「通勤ライナー」である「S-TRAIN」の40000系車両が増備されると聞き、「S-TRAIN」増発との見方もあったようですが、増備される40000系は「拝島ライナー」に充当されるようです。

まだ乗車運賃や停車駅、ダイヤは明かされていませんが、座って帰りたいというニーズは一定程度あるでしょう。JR東日本も2020年以降に、中央・青梅線へのグリーン車増結を予定していますから、競合が本格化するのは少し先ということになるでしょう。

2018年から当面は、西武鉄道がいかにJR東日本の乗客を奪えるか、これがすなわち、拝島方面への「通勤ライナー」のニーズを表す指標になるわけです。

 

■ 手堅い京王電鉄

先に紹介した京王電鉄の「通勤ライナー」は、夕方以降、新宿からの下り方面のみの設定とされています。首都圏の「通勤ライナー」の先駆者である京成電鉄の「イブニングライナー」はじめ、京浜急行の「ウィング号」、東武東上線の「TJライナー」はいずれも夕方以降の下り線で地ならしを行い、顧客が定着した段階で朝の上り線に拡大してきました。今回の京王電鉄も、その流れを踏襲しています。

加えて、ライバル小田急電鉄複々線化を見越し、運賃の値下げを発表して手だてを講じているあたり、とても手堅いと感じます。

 

■ 巻き返しを図る西武鉄道

西武鉄道は、「S-TRAIN」という「通勤ライナー」を投入して半年以上経過しますが、わたしが乗車した印象や、他の方の試乗記を見ても、成功とは言い難い状況です。

その最大の理由は、メトロ有楽町線という乗り入れ先からくるダイヤの呪縛でしょう(本ブログ 乗り物 第35回~TJライナー vs S-TRAIN~ - MASA日記 にて記述しています)。この運行形態を続ける限り、「通勤ライナー」としての役目を十分に果たすことは困難であろうと思います。

そこで汚名返上とばかり、同じ40000系車両をもって拝島線への「拝島ライナー」となるわけです。今回は自社線ですし、夕方以降の下りのみという慎重なスタートとなるようですから、「S-TRAIN」での教訓を生かして巻き返しを図るというところでしょう。

 

■ ポイントは価格?

これはあくまで私見ですが、成功のカギは着座のための料金設定だと思います。

S-TRAIN」は510円という強気な価格設定も、足を引っ張る原因になったと推測します。「ワンコインランチ」など500円というのは、サラリーマンの懐にとって貴重なお金です。それより高い料金を支払うなら、何本か待って空いた電車で帰るというのが庶民感覚ではないでしょうか。

一方で、東武鉄道の「TJライナー」は310円という価格設定であり、毎日は無理でも、疲れた日や飲んだ帰りには”座りたい”というニーズを汲むに適した価格です。

京王電鉄がいくら基本の運賃を下げても(京王電鉄自身は運賃の値下げでは無いと言っていますが)、加算される着座料金が高ければ乗車率に影響するはずです。

また「S-TRAIN」で苦い経験をしている西武鉄道が、「拝島ライナー」にいくらの価格を設定してくるかも関心があります。

いずれにしても価格設定は大きな要素ですから、注目したいと思います。