乗り物 第41回~懐かしのバブルカー 第2回・クレフ~

10月17日 火曜日 乗り物第41回

 

こんばんは。

今夜も「懐かしのバブルカー」シリーズをお送りします。

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皆さんに質問です。このクルマの名前は何でしょうか?

相当難易度が高い問題ですよ。おそらく多くの人の記憶から忘れられ、いや、生み出したマツダさえも忘れたい”負の遺産でしょうね。

 

バブルの最中、ファミリア、RX7などで手堅く販売台数を伸ばし、高級セダン・センティアでも一定の成功を収めたマツダは、そのシェアを一気に拡大すべく、「5チャンネル政策」に打って出ます。販売シェア首位のトヨタ、2位の日産は、いずれも販売チャンネルを複数持っており、ベースを同じくして外観を変える「兄弟(姉妹)車」で販売台数を大きく稼いでいました(マークⅡ3兄弟等)。

そこに3位争いをしていたマツダ”うちも販売チャンネルを増やそう”と取り組んだのが、「5チャンネル政策」です。

マツダアンフィニ/ユーノス/オートザムオートラマ

もはやオートラマという言葉を書くことは一生無いだろうと思っていました。

 

この政策の結果、世に送り出された数々のクルマたちでしたが、残念ながら成功したと言えるのはごく一握りで、企業規模に合わない中で乱発されたクルマたちは短命で消えてしまいました。本来、ミドルサイズセダンは当時主力になるべきで、マツダが持っていた「カペラ」を刷新した「クロノス」は、その中心を担う役割を負っていました。

f:id:Masa_S:20171004172029j:plain基幹車種になるはずだった「クロノス」

さすがに長兄にあたる「クロノス」は、それまでのカペラのイメージを刷新し、スタイリッシュなミドルセダンとして気合が入っていました。さらにヨーロッパを意識したチャンネル「ユーノス」から登場した「ユーノス500」も、販売こそ湿りがちでしたが、かのジウジアーロ氏をして”美しい”と評価されるなど、一定の支持を受けました。

f:id:Masa_S:20171004172453j:plainユーノス500は「10年基準」と言われたが・・・

しかし、「クロノス」とあまり変わり映えしないばかりか、ブランド力の無いところで登場した「テルスター」「MS-6」はパッとしませんでした。

f:id:Masa_S:20171004172900j:plainテルスター

f:id:Masa_S:20171004172922j:plain日本に車名が馴染まなかったアルファベット+数字のMS-6

そしてこのイマイチ掴みどころの無いデザインから派生し、オートザム店で展開されたのが、冒頭の問題の正解となる「クレフ」です。

いくらバブルでも、この「クレフ」に車両本体価格で220~260万ほど出す人はほぼいませんでした。改めて見ても、どさくさに紛れてよくこのデザインを送り出したな、と感心します。全般もそうですが、特に、真ん中に鼻くそのように独立したライトは、3代目ソアラトヨタ)のトレンドを汲んでいたのでしょう。そのソアラもほぼ失敗作、同一傾向のホンダ・CR-Xデルソルも失敗した中でのチャレンジ精神には拍手です。

f:id:Masa_S:20171004173833j:plain独立ライトの3代目ソアラ。まだ纏まりはあるか・・・

 

あまり奮わなかった「クロノス」の上物を乗せ換えても振るわないわけで、かくして一連の「5チャンネル政策」失敗は「クロノスの悲劇」と言われるのですが、中でも「クレフ」はその象徴でしょうね。4年が通常のフルモデルチェンジサイクルだった当時にあって、2年持たずに生産終了となりました。総生産台数5,258台。激レアです。

ちなみにもう1台、「クレフ」と同じく存在感の薄い兄弟車が存在します。クーペボディの「MX-6」、こちらもまた販売台数は5,500台程度と、レアですね。

f:id:Masa_S:20171004174446j:plainMX-6についてはコメントありません。

 

もしかつて所有してたという方がいらっしゃれば、気を悪くなさらないでください。しかし、「クロノスの悲劇」の立役者となった「クレフ」「MX-6」というクルマが、間違いなくこの世に存在したということを、覚えていてあげて欲しいのです。

ここから初代デミオで盛り返すまで、マツダは大苦戦を強いられました。正直、メーカーとして存続できるのか?とさえ個人的には思っていました。

しかし今のマツダの躍進ぶりは皆さんの知るところでしょう。技術屋の意地とも言えるスカイアクティブシリーズやロータリーエンジン。一連のハイレベルなデザイン。かつて言われた”マツダ地獄”のマツダとは決別し、評価は上昇の一途です。

その過程にあって、捨て石となった(であろう)「クレフ」に、今夜も合掌。