MASA日記

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保険 第21回~知人からの質問~

8月9日 水曜日 保険第21回

 

こんばんは。

先日、ある知人よりわたしに相談が来ました。知人の友人であるAさんが歩行中に交通事故に遭い、バイクにはねられてケガをした、という前提です。

①バイクの運転者Bさんとの間で示談が成立しかかったが、示談書締結直前になり、Bが示談内容の見直しを伝えてきた。理由を聞いても教えてくれないが、気分を害したAは、それまで請求を控えようと考えていた休業損害等も請求したいと思うが可能か?

②後日、Aの通う病院窓口とのやり取りで、治療費について保険会社と相談したいと言われた。Bが加入している保険会社の担当者に連絡し、病院と直接のやり取りを依頼したところ断られてしまったという。Bは”個人賠償責任保険”に加入している。いったい、病院窓口とBの保険会社、どちらの言い分が正しいのか?

 

 

まず、示談という行為は当事者が合意すれば行い得る行為であり、後日の紛争を防止する観点から「示談書」を作成して双方が署名捺印の上で保管するのが一般的です。

①の情報によれば、まだ示談締結に至ってない段階で相手方が見直したい、と言ってきているので、道義上どうかは別として、見直すこと自体は問題ありません。

ある程度当事者で話を纏めたところで保険会社に相談したところ、「保険会社に事前相談なく当事者間で決めた合意のうち、保険会社の認定を超過する部分は自己負担となります」と釘を刺され、自己負担したくない当事者が、急遽、それまでの合意をゼロクリアしたい、ということが背後にあることが少なくありません。

一方、本件のAさんもまた、示談締結前ですので、請求を改めることは可能です。治療費や通院交通費、慰謝料、休業損害など、損害にあたるものを並べて請求することには何ら問題無いと考えます。

 

どうやら、やはりBさんは自身の保険のことを思い出したようで、急遽、示談締結を回避しようとしたのだと後日判明しました。

その過程で②が出てくるのですが、本件は結論的にはBの保険会社の言い分が正しいです。おそらく病院窓口の方は、「お相手の方の保険会社さんのご担当が分かれば、治療費など直接やり取りもできますよ」と親切な対応をしてくれたのだと思いますが、それは自動車に関する保険の扱いに慣れている窓口の方だったのでしょう。

本件では、Bは何故か”個人賠償責任保険”の窓口を紹介しています。相手に賠償するのだから、と思ったのかもしれませんが、(このブログでも何度か触れたかと思いますが)個人賠償責任保険には必ず”人力によらない自動車・車両・船舶・航空機”などに起因する事故を免責として規定し、自動車保険等との棲み分けをはっきりさせています。個人賠償責任保険の安価な保険料に対し、自動車事故等で生じる損害額の膨大さが釣り合わないためです。そして弁護士法において、利益を得て行う法律行為を禁じている関係上、保険会社が示談代行により相手方と折衝したり、その過程で病院などと調整することもできないわけです。但し、例外的に、自動車保険や一部の保険では保険会社による示談代行が認められているので、代行することは可能です。

あまりに自動車保険が普及し、一般に保険=自動車保険のイメージが強いために、保険会社は当然に様々な交渉を代行してくれる、と誤解されがちですが、保険会社が代行することの方が例外であるということをAもBも知らなかったようです。

 

本件は、結果的にBのバイクの保険を使うことで収まったようです。

余談ですが、交渉過程において、Bが「保険が無いので賠償しない」という趣旨の発言をしたそうです。これも誤りです。事故によって発生した損害は、保険の有無に関係なく決まります。損害保険は、あくまで生じた事故により被保険者が負担すべき額を”補償”するものですから、Bが支払った後に保険から回収するイメージです。

一方で示談は当事者間の合意ですから、保険の有無に左右されません。こうした点も、保険が難しく、混乱しがちな点かもしれませんね。