MASA日記

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【特集】5000アクセス記念 歌手の歌い方の変化に想う

7月31日 月曜日 【特集】5000アクセス記念

 

こんばんは。

突然ですが、1週間前の7月24日、作詞家の山川啓介さんが亡くなりました。その記事のタイトルで名を見た途端に脳に浮かんだのが、聖母たちのララバイです。

 

◆「聖母たちのララバイ」とは

1982年5月21日に発売された、岩崎宏美さんのヒット曲ですね。

日本テレビで放送されていた「火曜サスペンス劇場」のエンディングとして作られた「聖母の子守唄」が原曲でした。オープニングの力強く、少し怖さも感じる音楽とは対照的に、エンディングでは何かを超越したような愛と郷愁を感じさせたこの曲。

視聴者から作品化の要請が多かったため、200本限定のマスターテープをプレゼントとしたところ、なんと35万通の応募があり、その結果、作品化されました。累計130万枚が売れ、オリコンでも1位を獲得するなど、岩崎宏美さんの代表曲の一つですね。

ただ、それだけの曲でありながら、日本レコード大賞にはノミネートすらされませんでした。理由は、曲前半のメロディーが、映画「ファイナル・カウントダウン」の劇中BGMに酷似していると同曲の作曲者が指摘し、「聖母たちのララバイ」作曲者の木森敏之がこれを盗作と認めたことから、John Scottと木森敏之の共作とされました。

当時のレコ大では、海外の作曲者の楽曲を対象外としていたことで、「聖母たちのララバイ」はレコ大にノミネートすらされない、というケチがついたわけです。

 

岩崎宏美さんの凄さ

岩崎宏美さんと言えば、「二重唱」「ロマンス」「シンデレラ・ハネムーン」など、1970年代後半からアイドルとして活躍されていましたが、80年あたりから雰囲気が大人っぽくなっていきます。わたしが初めてテレビで見たとき、近所に住む高校生の京田さんという女性(誰?ってツッコミは無しにして)に似て、アイドルという雰囲気とは違うという印象を受けました。

そして何より、岩崎宏美さんの凄さは、その歌唱力でしょう。音大卒ではないながら、曲に対して変なクセが無く、素直に歌い上げるところや、ブレスが入らないくらいマイクを離しても響き渡る声量など、歌手になるための要素を生来お持ちだと思います。

また同時に、その音域も広く、低音から高音まで間断なく続くところも素敵です。それは車に例えるなら、低速から高速までスムーズに、そしてグイグイと力強く加速するエンジンのようなイメージで、聞いていて心地よいものです。

 

◆なぜ歌い方を変えるのか

まず、是非皆さんに聞いていただきたいのは、1981年~1983年頃の岩崎宏美さんの歌唱です。わたしの中で彼女の全盛期だと思っていますし、これを超える歌唱力を持つ歌手は数えるほどしかいないと思っています。

そして続けて、近年の岩崎宏美さんの同歌の歌唱を見ていただきたいです。やはり上手ですし、歌が持つ母性愛的なイメージは最近の方が出ているのですが、なにぶんかつての曲に対する素直な歌い方では無くなっています。少し間が空いたり、部分的に伸ばし過ぎていたり、細かなアレンジを加えているのです。

これは岩崎宏美さんに限らず、どうしても年数を重ねるとそうなることが多いですが、その原因は色々あると思います。失礼を承知で言えば、一番は加齢によるものでしょう。高音が出なくなる、息が続かなくなるといった具合に。

それでも聴く側はわがままなもので、かつて元SMAPの中居さんが、ある歌手の方に対して”アレンジじゃなく、CDのような曲が聞きたい”という趣旨のことをおっしゃっていましたが、わたしも同感です。それならCDで聞けるじゃないか、と言われそうですが、やはりオリジナル歌手の、当時の雰囲気を壊さない、それでいてCDと同じように正確な生歌を聞いてみたい!と思うのです。

岩崎宏美さんは、わたしが知る歌手の中では、曲に正確でいて雰囲気を表現できる数少ない歌手のお一人です。それだけに崩してしまっている現在の歌い方が残念です。

もちろん、高音が出ないのは仕方ありませんが、声量は元が凄いだけに現在でも十分なものをお持ちです。むしろ、高音を出そうとするあまりファルセットを多用し、結果的に声にかつての艶や伸びが無く、声量も制限されてしまってると感じるのです。

それならば、現在の地声で歌えるところまで思い切ってキーを下げれば、アレンジも不要ですし、声量も維持できるのではないかと素人考えで思ってしまうのです。

一時期、(やや声の高い)男性歌手による女性曲のカバーが流行りましたが、当然ながらキーは男性のものに合わせて下げています。しかし、全体が下がっているため、違和感はありません。男性の歌で聞いて違和感が無いのですから、岩崎宏美さんが現在のキーに下げて歌ってくれれば、それは現代の岩崎宏美さん版として素直に受け入れることができるでしょうし、圧巻の歌声に感動すると思います。

無理して過去を維持しようとすると、どうしても辛そうに見えますし、過去と比べてしまうとパフォーマンスは落ちてしまいますから、期待外れに感じます。

35年という年月は、それだけ長い時間だということの表れでもありますが、とても素晴らしい歌唱力を持つだけに彼女に対する期待値が高いのであって、決して岩崎宏美さんを批判する意図ではないです。むしろ、彼女の歌唱が好きだからこその注文ですね。

 

「すみれ色の涙」「聖母たちのララバイ」「家路」、当時の歌唱、是非聴いてみてください。