MASA日記

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マニアな小ネタの世界 第8回~山本昌という投手の凄さ(中編)~

4月21日 金曜日 マニアな小ネタの世界第8回
 
こんばんは。

前回に引き続き、山本昌さんの凄さを探ってみます。

 

④凄い!~その③:コントロールの良さ~

昌さんと言えば、昔からコントロールが良い投手だと言われていました。それはご本人が、「俺と川上(憲伸投手)のキャッチボールは金が取れると思うくらい正確に投げる」と自負を示せば、いつもはボヤキで有名な野村克也さんも”投手は球の速さじゃないってことを山本投手が示している”と称賛する程、自他ともに認めるところでしょう。

わたしがテレビを見ていた中で凄かったのは、左打者の胸元に落ちてくるカーブでファール(1ストライク)、それで体を起こしたところでアウトローギリギリに直球(2ストライク)、そして同じ軌道からスライダーでボール半個分外に出して空振り三振を奪ったシーン(3球三振)。巨人戦でしたが、解説していた江川卓さんと掛布雅之さんが思わず”う~ん・・・”と唸り、見事としか言えないという趣旨の発言をされ、それを可能にしているのがボールの縫い目一本ほどの出し入れができる制球力だと解説されているのを見て、”どうだ!”と嬉しかったのを覚えています。

ちなみに、今では中日のセットアッパー・クローザーとして数々の記録を作ってきた岩瀬仁紀投手は入団時、コントロールの悪さゆえにバッター相手の投球練習を禁じられたことがあります。キャンプ中に打者にケガさせては大変ですからね。そこで投手コーチ(たしか山田久志さん)が白羽の矢を立てたのが昌さん。同じ左投手でコントロールが良い昌さんに、制球力を磨く方法を教えてやって欲しいと指導を依頼したそうです。結果・・・皆さんがご存知のとおり、岩瀬投手は今も活躍する大投手になりました。

 

⑤凄い!~その④:意外に速い直球~

そんな昌さんは、制球力が良く、伝家の宝刀スクリューボール、2度目の留学でマスターしたカーブなど、とかく変化球でかわすイメージが強いようです。

しかし、実際には直球に対する強いこだわりを持っており、キャンプでもストレートの走りをしっかり磨き上げてから変化球に入って行くほど、ストレートは組み立ての基本と考えていました。その直球は、スピードガンでは132km~134kmと表示されます。まぁ、プロ野球の、それも1軍の投手にしちゃ遅いですよね。

ただ、実際に対戦した選手は異口同音に「速い」と言い、中には「おそらく一番速いと感じる」と語った選手もいたほどです。それは、昌さんに対するイメージに加え、スピードガンで記録される数字も、余計に惑わしているかもしれませんが、やはり直球は速いのだそうです。BS-iの「超・人」で検証した際、昌さんの直球の回転数を計測した結果、1秒間に52回転でした。一般的な投手が同37回転、速球派と言われる松坂大輔投手で41回転、藤川球児投手でさえ45回転ですから、昌さんの回転数の多さが証明されています。球を離してからキャッチャーに届くまでに、どうしても空気抵抗を受けて球速は落ちます。しかし、回転数が上がれば空気抵抗が減り、物理的にはあり得ないですが伸びあがるイメージのボールになる、つまり、初速と終速の差が小さくなるわけです。また、記憶が確かならばこんなエピソードも新聞で読んだことがあります。

キャンプのブルペンでのこと。そのオフに入団した川上憲伸投手が先輩の投球を見ていたとき。並んで投げていた昌さんと宣銅烈(ソンドンヨル)さんの投球を見て驚いたそうです。何故か?宣さんは150kmを超える速球派で抑え投手として活躍しました。しかし、同時に投げながら、バッターボックスに届くのはほぼ同時だったと言います。つまり、宣さんの球は空気抵抗で終速が落ちているわけです。

バッターからすれば、150kmの投手と132kmの投手では持つイメージが違うでしょう。まして、変化球投手と見られがちな昌さんだから尚更です。そこに来て150km投手と同等のストレートを投げ込まれれば、見逃したり振り遅れたり、当たっても詰まったり。かつて女房役だった中村武志さんが「132kmくらいでミノサン(見逃し三振)取るときは一番気持ちよかった」と語っていたように、実は直球、凄いんです。

 

⑥凄い!~その⑤:独特なフォーム~

昌さんと言えば、その独特な投球フォームが物まねされることもありますね。

ご本人は「一番綺麗だと言われたこともある」とおっしゃっていますが、ダイナミズムは感じても、カクカクしたフォームだな・・・と思います。

まずあの振りかぶる仕草は、テレビ中継が無い中、ラジオで中継を聞いていたとき、実況のアナウンサーが「ピッチャー 第一球 振りかぶって投げました」という、この振りかぶってという部分を踏まえたのがキッカケだそうで、必ず振りかぶりますね。

そしてマウンド上で188cmもある巨体で威嚇し、今度は腰をぐいと曲げてから大きく前に踏み出し(体がデカいので、バッターには余計に近く見えるでしょう)、スリークオーター気味な位置から繰り出すわけですが、かなり遅れて腕が出てくるので、極端に言えば左足をついた後に腕が出てくる錯覚さえ覚えるほど、あのフォームが奏功しているのだと。親友と言われる山崎武司さん曰く、投手のフォームに合わせ「イチ・ニのサン」で振りに入るが、昌さんは「イチ・ニの・・・(ウン)サン」くらいで来るから、タイミングが取れないとのこと。

 

余談ながら、昌さんのフォームは、ワインドアップモーションもさることながら、セットアップポジションも独特ですね。長らく中日に在籍した井上一樹さんは投手として入団しましたが、制球力が悪かったそうです。そんな井上さんは、同じ左投手の昌さんのフォームを試そうと、顔の前にグラブを構えたのですが、近くにグラブを置きすぎたのかランナーが見えず、顔をやたら動かしていたところ、ボークを取られてしまいました。それが原因で(ある種の)イップスになり、打者転向になったそうです。あのフォームも、誰でもできそうで、できないものなんですね。

 

現役32年、実働29年という長さを考えれば、普通だとすぐに攻略されます。相手もプロですし、活躍している投手相手となれば攻略の作戦を練ってきます。

それでも50歳まで現役でいられるには、たゆまぬ努力に加え、投手として普通じゃない部分がこれだけ揃っていたからこそなんですね。

 

次回は、プライベートな昌さんの凄さに触れてみたいと思います。