MASA日記

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自動車事故の今後

7月5日火曜日の夜です。今日のネタは自動車事故についての雑記です。

 

自動車事故を起こした場合、「民事上の責任」、「刑事上の責任」、「行政上の責任」の3つが課される可能性があります。

 

1 民事上の責任

これは極めてシンプルで、いわゆる不法行為責任(民法709条)により、被害者が被る損害を金銭で償うことになります。

 

2 行政上の責任

自動車を運転される方はお馴染みですね、内容に応じて点数があり、免許停止になったり、反則金の納付が必要になるわけです。

 

3 刑事上の責任

・かつては一般に、「業務上過失致死傷罪」(刑法211条前段)が適用されました。最高裁判例によれば、ここにいう”業務”は、仕事の意味では無く、社会生活上の地位に基づき、反復性・継続性があり、生命や身体に危険を生じせしめ得る行為を言います。

・ところが、この刑では、5年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金が法定刑ですから、これを超えて罰することはできませんでした。

・その一方で、非常に悪質な交通事犯が社会問題化したことから、厳罰化が検討され、2007年6月12日より「自動車運転過失致死傷罪」が施行されました(後に、自動車運転死傷行為処罰法第5条の「過失運転致死傷罪」に移行)。これにより、7年以下の懲役・禁錮・100万円以下の罰金が法定刑となりました。

・また、2005年の刑法改正で刑法第208条の2として新設された、より危険な状態で自動車を運転した場合の「危険運転致死傷罪」も、自動車運転死傷行為処罰法施行に伴い刑法より移管され、危険運転傷害罪の場合には1月以上15年以下の懲役が科され,危険運転致死罪の場合には1年以上20年以下の懲役、さらに病気や酩酊の場合、無免許の場合などが詳細に区分されました。

・こうして、悪質な交通事犯に対処してきたのですが、今年の6月30日に岐阜県海津市で発生した、登校中の児童の列に乗用車が突っ込み、8人が負傷した事故では、”故意”があったとして「殺人未遂罪」で逮捕状を取ったと、各報道が報じています。「殺人罪」は刑法199条にて、死刑または無期若しくは5年以上の懲役と定められていますが、同203条において、未遂も罰するとされています。未遂罪は刑を軽減できる旨規定されています(刑法43条)が、あくまで”できる”ので、”しない”ことも可能です。結果、仮に本件で「殺人未遂罪」となれば、「危険運転致死傷罪」以上の刑となる可能性も否定できません(もっとも、死者は出ていないので実際には分かりませんが)。

・わたし個人としては、自動車は便利な反面、極めて危険な凶器と化す可能性もあるので、”故意”に自動車を用いて起こした場合、「殺人罪」「殺人未遂罪」を適用して裁くことに違和感はありません。実際、2008年に起きた秋葉原通り魔事件の被告には、殺人罪が適用され、2015年に死刑が確定しています。

・今回の事故(事件)や、秋葉原通り魔事件のような、明らかな”故意”が認められるケースは問題無いのですが、危険ドラッグを使って自動車を運転した場合には、「危険運転致死傷罪」が適用されます。たしかに、殺人についての”故意”は無いかもしれませんが、”故意”に異常な精神状態に陥り運転することは、結果的に重大な事故を引き起こし、無差別に殺人を起こす可能性を秘めた行為です。

・こうして、あくまで殺人という結果についての加害者の意思により結果が左右される点で、”故意”なのか”過失”なのかの判断は重要になってきます。”過失”の場合は客観的な判断がなされるので良いですが、重大な結果を招いた場合の”故意”の立証がどこまでできるのかが問われると思います。

・一方で、今後は高齢化による認知症てんかんなどの疾病(および隠ぺい)、さらには自動運転技術の発達に伴う事故など、新たな問題が出てきています。”故意”なのか”過失”なのか”未必の故意”なのか、はたまた”第三者的要素(完全自動運転)”なのか。交通事犯に対する処罰が細分化されていくのか、逆にシンプルな方向に収束されるのか、難しい問題だと感じました。

・ちなみに、完全自動運転中の事故の場合、民事上の責任を運転者に問えないケースも出てくるでしょう。むしろ、自動車メーカーの製造物責任の事故になります。米国で既にこうした事故が発生したようですが、日本でも今後起こり得る問題ですね。